厳選された品揃えで、在庫の限られた商品を、期間限定、大幅ディスカウントで売りさばく「フラッシュ・セールス」は、米国ネット通販業界で現在最も注目されている販売モデルのひとつだといえる。その「フラッシュ・セールス」が、売り手に提供する価値提案は「余剰在庫の処分」と「新商品/ニッチ商品のマーケティング」だ。
先の例を見てみても、「エクササイズ・ウェア」といってもただのエクササイズ・ウェアではなく、着用しているだけでセルライト除去効果があるエクササイズ・パンツ、起床時刻になるとアラームが鳴るだけではなく、跳ねたり転がったりする目覚まし時計、ソープストーンでできたアイスキューブ(保冷効果があって、冷蔵庫で冷やしておくと30分間は低温を維持できる。飲料を冷やすために使うが、普通のアイスキューブと違って溶けて味が薄まってしまうこともない。)など、アイデア商品/面白グッズの類が品揃えに多く、これらは流通業者ではなくメーカーから直接提供されている。メーカーにしてみれば、グルーポンで販促をすることで、いわゆる「販売促進」だけでなく、グルーポンの登録顧客に対してブランド認知/商品認知を高めるという思惑があるのだろう。
ちなみに、米国ではグーグルがグルーポンに対抗して始めた類似サービス「グーグル・オファー」の目覚しい成長ぶりがビジネス・メディアを賑わせている。同サービスを通して提供されるプロモーション一件あたりの売上は、今年8月から9月の一カ月にかけて160%増、販売されたクーポンの数に至っては427%増の成長を記録した。
昨年12月にグーグルはグルーポンに対して60億ドル規模の買収提案を行い、破談に終わったという経緯があるが、最近波乱続きのグルーポンに「グーグルの傘下に入るべきだったのでは・・・」という囁きも巷では聞かれている。アマゾンが出資する競合、リビングソーシャルの追随も激しい。
「グルーポン・グッズ」が、アマゾンやウォルマート、ベスト・バイなど、米リテール業界の「現体制」に対して強力なライバルになり得るかどうかはまだわからないが、共同購入型クーポンの市場においては「追われる立場」になったグルーポンが、あの手この手で首位の維持を試みていることは確かだ。変化の速い世の中である。「驕れる者久しからず」という言葉がこれほどしっくりくる時代も今までなかった。
市場の動きをいち早く読み、次々と新しい弾を投ずるとともに、時には競合の攻勢から素早く身をかわすことが必要だ。グルーポンは果たして逃げ切れるのか、悪あがきなのか巧妙な戦略なのか、今後の展開から目が離せない。
グルーポン、米リテール業界の「現体制」に宣戦布告
石塚 しのぶ
ダイナ・サーチ、インク 代表取締役
ダイナ・サーチ、インク 代表取締役
石塚 しのぶ/経営戦略
「限定期間内に一定人数が手を挙げればディスカウント・ディールが成立」というモデルで、「共同購入型クーポン」という市場をつくりだしたグルーポン。最近、株式公開の申請に伴う会計上のトラブルや、強力な競合の出現に悩まされている。そのグルーポンが、物品販売に進出し、米リテール業界の大御所たちに挑戦状を叩きつけようとしている・・・。
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