医師不足の中、県内の小児・産科医療のあり方を考えるシンポジウムが5日、つくば市竹園のつくば国際会議場で行われ、医療関係者や行政職員約80人が参加した。東日本大震災で大きな被害を受けた北茨城市立総合病院で分娩(ぶんべん)ができず、隣の高萩市の病院で肩代わりしている現状が報告された。
シンポジウムは国の補助金を受け、筑波大学付属病院が09年から実施している「地域と大学の連携による周産期医療人材育成事業」の一環。北茨城市立総合病院の土井幹雄院長が現状報告した。北茨城、高萩両市と福島県いわき市勿来地区で年間700件ある分娩のうち、200~250件を担っていたが、震災で分娩ができなくなり、県北医療センター高萩協同病院で行っているという。
また、筑波大学産婦人科の浜田洋実病院教授は、医師不足に加え分娩を行う施設も過去15年間で4割減少し、医師が地域によって偏在していると指摘。「個々の医師への負担が大きい。助産師や看護師など医療スタッフの育成が望まれる」と話した。【鈴木敬子】
毎日新聞 2011年10月6日 地方版