2011年8月9日 2時30分
福島県内の公立小中校に通っていた児童・生徒のうち、東日本大震災と福島第1原発事故以降に転校したか、夏休み中に転校予定の小中学生が計約1万4000人に上ることが、県教委のまとめで分かった。夏休み中に県外に転校予定の小中学生は1081人で、4分の3は放射線への不安を理由に挙げた。当初は原発から30キロ圏など避難区域からの転校例が多かったが、区域指定されていない県央部(中通り地方)からの例が多くなっているという。
県教委によると、震災発生から7月15日までに県外へ転校した児童・生徒は7672人。県内への転校が約4500人。夏休み中に県外へ転校を予定しているのは1081人、県内への転校予定が755人。
文部科学省によると、県内の公立小中校の児童・生徒は5月1日現在で約16万5000人だった。1割近くが転校を余儀なくされた形だ。私立学校生や就学前の幼児、高校生らを含めると「疎開」した未成年者の数はさらに増える。
原発事故後、同県では、原発30キロ圏内の学校の多くが県内他校の校舎を借りて授業を行っている。県教委の分析では、7月15日までの転校者計約1万2000人の半数以上は、元々は原発30キロ圏内の学校に通っていた児童・生徒とみられる。今回、1学期終了に合わせて実態を調査した。調査に携わった関係者によると、夏休み中の県外転校予定者の半数以上が福島、郡山両市など中通りの学校に通学していたという。
一方、夏休み中の県内転校予定者の約半数は「仮設住宅などへの転居」を理由に挙げた。同県相馬市に避難先から戻るケースもある。県教委は「子供の負担を考えて、区切りとなる1学期終了後の転校を決めた人が多いのでは」と推測している。【安高晋、関雄輔】