井原市の介護施設「西部いこいの里」に通所していた高齢男性があめをのどに詰まらせて死亡した事故で、遺族が運営元の社会福祉法人新生寿会(同市)に総額2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4日、広島地裁福山支部であり、吉波佳希裁判官は、被告に1000万円の支払いを命じた。
訴状によると、男性(当時79歳)は10年1月26日午後1時15分~20分ごろ、同施設内であめ玉を誤飲して苦しんでいるのを職員が発見。人工呼吸や心臓マッサージを施し、同30分に救急車を要請。男性はその10分後に到着した救急車で搬送されたが、翌日夕、急性呼吸不全で死亡した。
判決は、施設側が救急車を呼ぶまでに10分以上を要した点について「少なくとも10分の遅れが(男性の)生命に重大な影響を及ぼしたと推認できる」と指摘。搬送要請が遅れた点で、通所者への安全配慮義務に違反があると認めた。原告が主張する事故発見の遅れや処置方法の誤りは認めず、賠償を減額した。
同法人は「判決文を精査して今後の対応を検討する」とコメントした。【豊田将志】
毎日新聞 2011年10月5日 地方版