家計負債が900兆ウォン(約57兆8000億円)に迫るなど庶民が借金漬けとなる間、銀行が過去最高益を上げることが確実視されている。家計負債増大と銀行の利益が比例するのはなぜか。
証券情報会社のFNガイドが、ウリ、国民、新韓、ハナ、企業、外換、大邱、釜山の市中銀行8行と金融持ち株会社の7‐9月の合計純利益について、証券各社の予測を分析した結果、平均は3兆2000億ウォン(約2060億円)だった。これに1‐6月の純利益10兆ウォン(約6420億円)を加えると、1‐9月に銀行は13兆2000億ウォン(約8480億円)を稼ぎ出し、既に昨年通年の9兆4000億ウォン(約6040億円)を上回った。9月までの数値だけで、通年での過去最高を上回っており、今年は通年で20兆ウォン(約1兆2840億円)を超える可能性もある。
市中銀行の純利益が急増したのは、現代建設の株式売買益で3兆2000億ウォン(約2060億円)を計上したほか、昨年中に不良債権発生に備え貸倒引当金を積み立てたが、実際に債権が不良債権化せず、利益として計上された資金が3兆3000億ウォン(約2120億円)に達するなど、特殊要因が多かったからだという。
しかし、銀行が貸出金利を引き上げる一方で、預金金利の引き上げを渋り、預貸金利差が拡大したことが要因だとする批判論も根強い。金融研究院によると、銀行の貸出金利と預金金利の差を意味する預貸金利差は、今年第2四半期(4‐6月)の平均は2.95ポイントで、前年の平均(2.85ポイント)に比べ0.1ポイント拡大した。預貸金利差が0.1ポイント拡大すると、銀行全体の利子収入が1兆2000億ウォン(約770億円)増える。
最近、住宅担保ローンの金利が1.5%も上昇した自営業のキム・ウンスさん(50)は「銀行は口だけ庶民のためと言っているが、金利を引き上げている。2億ウォン(約1280万円)借りたが、月々の利払いが20万ウォン(約1万3000円)を超え、死にそうだ」と語った。
2009年以降、家計負債の急増に伴い、銀行の融資残高が増えたことも純利益の増加に貢献した。銀行を含む金融機関全体の家計向け融資残高は、2009年末の733兆7000億ウォン(約47兆1200億円)から今年6月末には876兆3000億ウォン(約56兆2700億円)へと増加した。
銀行の貸出金利が上昇したのは、金融当局が家計負債を抑制するため、銀行の金利引き上げを後押ししたことが要因とされる。一方、預金金利が上昇しないのは、安全資産に資金がシフトし、銀行に資金が流入していることが原因とみられる。