先月18日に営業停止となったエース貯蓄銀行は、昨年時点で国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率が8.5%だと公示していたが、最近金融当局が実施した経営診断の結果、同比率がマイナス51.1%だったことが判明した。営業停止措置で預金が下ろせなくなった利用客は「自己資本比率が8%以上ならば優良貯蓄銀行だというので、安心して取引していたのにでたらめだ。一夜にして変わってしまう数字を信じられるはずがない」と憤った。
■大型の焦げ付きで一気に自己資本低下
BIS基準の自己資本比率は、1988年のバーゼル合意に基づき、国際金融業務を扱う銀行の財務健全性を評価する基準となった。同比率は自己資本をリスク資産で割り、100を掛ける形で計算する。分母となるリスク資産を算出する際には、資産を種類別に分け、それぞれのリスクを反映させる。
金融当局は以前、BIS基準を一般銀行だけに適用していた。しかし、アジア通貨危機後の1998年に貯蓄銀行にもBIS基準による自己資本比率を開示するように監督規定を改正した。
しかし、今年に入り、複数の貯蓄銀行が同時に営業停止処分を受けたことをきっかけとして、BIS基準の自己資本比率は変動性が大きいとして、財務健全性の指標として役に立たないとの論議が起きている。貯蓄銀行は一般銀行に比べ、自己資本がはるかに小さいため、自己資本やリスク資産にわずかな変動があっただけで、同比率は大幅に上下する。営業停止となった貯蓄銀行の場合、不良債権の回収可能性を金融当局が以前よりも厳格に判断したところ、一気に同比率が低下した。
金融監督院の関係者は「数百億ウォン(数十億円)の不動産融資1件を回収可能と判断するか、回収不能と判断するかで、数値が5‐6ポイントも違ってくる。このため、数値が8%以上ならば優良だとか、安心できると説明するのはどうも気後れする」と話した。