2011年8月7日 18時30分 更新:8月7日 18時38分
【テヘラン鵜塚健】制裁がイラン経済にプラス?--国際通貨基金(IMF)は3日、イランのアフマディネジャド大統領による経済改革を高く評価する報告書を発表した。イランは核開発問題を巡り国際社会から経済制裁を受けているが、報告書は「補助金改革の成功などで、今年の経済成長率は3.2%」と予測している。
イラン政府はイスラム革命(79年)以降、電気やガソリン代、食料価格などを低く抑えるため莫大(ばくだい)な補助金を導入してきた。しかし、国連や欧米からの相次ぐ制裁による石油収入の減少などで財政が逼迫(ひっぱく)。大統領は昨年12月、国会多数派の反対を押し切り、国内総生産の15%に当たる600億ドル(約4兆7000億円)の補助金を削減した。
一方で、報告書は制裁による負の影響も考慮しながらも、「補助金改革がイラン経済の効率性、競争性を高め、経済成長を促す」と肯定的に評価。原油価格の上昇も踏まえ、今年4月の報告書では0%としていた経済成長率の予想を上方修正した。大統領は補助金削減と同時に各家庭への現金給付も実施しており、これが「物価上昇の影響を軽減し、貧富の差の解消にもつながった」と分析した。経済制裁によって核問題で譲歩を引き出したい米欧にとっては、予想外の結果になっている。