国が開いた原子力のシンポジウムで、経済産業省の原子力安全・保安院が電力会社に対し、いわゆる「やらせ」を依頼していた問題で、経済産業省は4日、関与した職員などに対する処分を明らかにしました。
これは、枝野経済産業大臣が閣議のあとの会見で明らかにしたものです。それによりますと、処分を受けたのは、問題となった平成19年と平成20年に国主催の原子力に関するシンポジウムが開かれた当時に、「やらせ」を依頼したなどとされた3人で、原子力安全・保安院の原子力安全広報課長が戒告、資源エネルギー庁の原子力発電立地対策・広報室長が戒告、それに、原子力安全・保安院の係長級の職員が訓告です。また、当時3人の上司だった、中小企業庁の鈴木正徳長官、経済産業省の西山英彦前審議官、資源エネルギー庁の原子力立地・核燃料サイクル産業課の森本英雄課長に対して、いずれも訓告処分としました。さらに、今回の問題を重くみて、枝野大臣は、安達健祐事務次官や原子力安全・保安院の院長、資源エネルギー庁の長官の3人に対し、再発防止策に取り組むよう、国家公務員法に基づく職務命令を出しました。これについて、枝野大臣は「原子力行政においてこのような事態になったことは言語道断、大変遺憾であり、立地地域の住民や国民に改めておわびする」と陳謝しました。一方、この問題で、枝野経済産業大臣は経済産業省の幹部職員に訓示を行い、再発防止に向けた対応を指示しました。この中で、枝野経済産業大臣は「経済産業省が設置した第三者委員会の最終報告で、国の電力会社に対する不適切な働きかけが認定された。国民の信頼を損なう行為であり、大変遺憾な事態だ」と述べました。そのうえで枝野大臣は、原子力関係などのシンポジウムへの参加や意見表明を要請するといった、国から偏った働きかけを今後禁止することや、シンポジウムの運営に関する行動規範を今月中をめどに策定することなど、再発防止に向けた対応を指示しました。