地域医療を担う総合医を育てる「大田総合医育成センター」が3日、大田市大田町の市立病院内に開設された。同市の寄付で島根大医学部に新設された総合医療学講座の「バーチャルキャンパス」で、医学生が臨床研修する場となる。また、教官や医学生がここで実際に診療することで、同病院の医師不足対策にする狙いもある。
式典には、大谷浩・医学部長や小林祥泰・付属病院長、同講座の石橋豊教授、竹腰創一市長らが出席し、テープカットで開所を祝った。これまで市立病院の外科医だった野宗義博副院長が同大学に籍を移し、センター長兼外科系教授に就任した。内科系教授、外科系准教授は来春着任する。学生の受講は新年度以降の見込みで、それまでは石橋教授と野宗センター長が受講希望者募集に向けた情報発信にあたる。野宗センター長は同病院での診察も継続する。
国立大学医学部による外部病院での「バーチャルキャンパス」設置は、筑波大が水戸協同病院(水戸市)で実施しているが、医療機関の少ない地方の公立病院での受け入れは、全国で初めて。石橋教授は「医師不足の地域で総合医を目指す学生にぜひ集まってほしい」と呼びかけている。【鈴木健太郎】
毎日新聞 2011年10月4日 地方版