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福島第1原発:賠償請求記入で手引書 用紙簡略化はせず

東京電力が作製した個人向けの賠償請求用紙
東京電力が作製した個人向けの賠償請求用紙
東京電力福島第1原発事故の賠償問題について語る広瀬直己常務=東京都千代田区の東京電力本店で2011年10月3日、久保玲撮影
東京電力福島第1原発事故の賠償問題について語る広瀬直己常務=東京都千代田区の東京電力本店で2011年10月3日、久保玲撮影

 東京電力福島第1原発事故の損害賠償問題を担当している広瀬直己東電常務が3日、毎日新聞のインタビューに応じた。賠償の請求用紙の量が膨大で手続きも煩雑との批判が出ていることについて、用紙への記入が容易にできるような手引書を作製し、週内に被災者に発送することを明らかにした。

 被災した個人向けの賠償請求用紙は60ページ、記入方法の案内冊子は156ページに及び、広瀬常務は「漏れなく記入してもらうためだったが、思いが至らなかった」と陳謝。手引書は賠償請求用紙から重要な7、8項目を抜き出したもので、被災者がチェックし、そのうえで窓口や電話で東電から説明を受けながら請求用紙に記入する仕組みで、請求用紙自体は簡略化しない。10月から対面相談の担当者を1000人増員して1700人体制で対応しており、広瀬常務は「連絡いただければ、戸別訪問などにも対応する」と述べた。

 また、9月30日に解除された緊急時避難準備区域の住民から「帰宅すれば賠償が打ち切られるのでないか」との懸念も出ているが、「すぐに打ち切ることはない」と当面継続する考えを示した。

 一方、原発に代わる火力発電の燃料費増などを賄うため、電気料金の値上げが焦点となっているが、「(値上げしないと)厳しいのは明らかだが、まずはコストダウン、効率化を徹底して絞り切るだけ絞り切る。(値上げは)その先の話」と述べた。

 除染費用や福島第1原発の廃炉費用などの追加支出次第では債務超過も懸念されるが、「とにかく合理化を進めるしかない。国の原子力損害賠償支援機構からの資金で賠償を実行し、同時に金融機関に追加融資をお願いしていきたい」と語り、支援機構による資本注入については、「資金繰り(確保)の一つの方法だが、我々から要請する可能性はない」と慎重な姿勢を示した。

毎日新聞 2011年10月3日 21時44分(最終更新 10月3日 23時10分)

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