金正日ファミリーの確執、フェイスブックで露見

 資本主義がつくり出したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の息子同士の確執が表面化している。中国本土とマカオを行き来し、北朝鮮国外に滞在し続ける長男、金正男(キム・ジョンナム)氏は、フェイスブック上で異母兄弟の金正恩(キム・ジョンウン)氏を罵倒するなど、後継者争いから脱落したことへの鬱憤(うっぷん)を隠さずにいる。

 正男氏と推定される「キム・チョル」氏は1日、韓国メディアに自分と、息子キム・ハンソル氏のフェイスブックの内容が報じられると、友人71人のうち、キム・ハンソル氏のID2個を削除した。「友人」登録を削除すれば、キム・ハンソル氏のページ経由で、正男氏のページに接続することはできなくなる。

 しかし、「キム・チョル」氏のフェイスブックには、正男氏とは異母兄弟の関係にある正恩氏の顔と映画『カンフー・パンダ』のポスターを合成した画像が掲載されたサイトがリンクされたままだ。このサイトには「カンフー金正恩、ファック、イェーイ!」と正恩氏を罵倒する語句が書かれている。「キム・チョル」とは、マカオに住む正男氏がシンガポールや香港などのホテルを予約する際に使う偽名だ。

 金正男氏はまた、フェイスブックに、正恩氏を後継者に決めた父親、金総書記と北朝鮮の権力層を皮肉る合成写真も掲載した。この写真で金総書記は軍の閲兵式の壇上で、自分の前に置かれた男性性器状の器具を見ながら笑みを浮かべ、拍手をしている。写真の左下には英語で「あれは何に使うんだ? 拍手しなければ、平手打ちを食らう」と書かれている。

 母親が異なる正男氏と正恩氏は、正男氏が北朝鮮にいたころから仲が悪かったという。長男の正男氏は金正日総書記と女優、成恵琳(ソン・ヘリム)氏の間に生まれた。金総書記は1980年、正男氏をスイス・ジュネーブの国際学校に留学させた。正男氏が海外に滞在中、金総書記は在日同胞出身の舞踏家、高英姫(コ・ヨンヒ)氏との間に次男の正哲(ジョンチョル)氏と三男の正恩氏をもうけた。当初後継者順位1位だった正男氏は、1990年代後半に幹部の子息らに「自分が後継者になったら、改革開放を進める」と発言し、問題になったこともあった。

 金総書記に後継者への道を閉ざされた正男氏は、2001年に東京ディズニーランドに行くためにドミニカ共和国の偽造旅券で日本に入国しようとして発覚し、追放された。正男氏は日本から追放されて以降、父親の金総書記に無視されるようになった。その後、正男氏は事実上、中国当局の保護下で北京、マカオなどを転々としながら生活している。中国は正男氏を利用する価値があると判断し、正男氏が中国に住んでいる限りは保護せざるを得ないとの立場を北朝鮮側に伝えたとされ、韓国情報当局が分析を進めている。

 金総書記の息子たちの性格はそれぞれ異なるが、外国を見て歩き、西欧文化に傾倒しているとされる。

 正哲氏は今年2月、シンガポールでエリック・クラプトンのコンサートを見て、ショッピングを楽しんだ。正男氏の息子、ハンソル氏も韓国のアイドル、BIGBANGのように頭髪を染め、体型にぴったりのスーツを着用しているほか「ソニア」という外国の女性と交際していることもフェイスブックで明らかになった。

崔賢黙(チェ・ヒョンムク)記者
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