iPhone、iPad、iMacにMac Book Airと、複数の機器を有効に活用するためには、クラウドサービスが欠かせません。バックナンバー『Mac Book Air完全クラウド化計画』でもお伝えしたように、これまで「ほとんどすべてのファイルがクラウド上にもある」環境を作るためにいろいろと試行錯誤を続けてきました。
「バックアップはどうする?」「どのサービスにどんなファイルを置く?」など、未解決の課題や疑問がありましたが、最近、ようやく自分でも納得できる環境が完成しました。今日は、そんなZONOSTYLE流パーソナルクラウドの全貌をお見せしたいと思います。
実はこの記事、先々週あたりからコツコツと書き続けていたのですが、気がついてみると、いつのまにか文字数が1万5000字を超えてしまっていました。いま、2冊の書籍を執筆中なので、おそらくそのモードでやってしまったのだと思います。
以前からこのブログは長文でしたが、さすがに今回は長いにもほどがあるだろうということで、前後編に分けることも考えました。でも、せっかく書いた長編作をぶった切るのはもったいない気がして、結局、1本で行くことにしました。
自分でもあきれるくらいの量なので、Evernoteにクリップするなどして、時間があるときにゆっくり読んでいただければと思います。読み込みに時間がかかったら本当にごめんなさい!
というわけで、まずは、パーソナルクラウド環境を作るにあたって、オレがこだわっている部分を挙げてておきましょう。最初のポイントはこれです。
① 制作に関わるすべてのファイルをクラウドストレージに保存すること。
理由はもちろん、iPhone、iPad、すべてのMacで、いつでもどこからでもすべてのファイルにアクセスできるようにするためです。もし、いずれかのファイルがMacのハードディスクだけに保存されていたとしたら、外出先でそれを見たり編集したりできなくなります。
外で使いそうなものだけを選りすぐってクラウドに保存する手もありますが、いつどのファイルが必要になるかなんてなかなか予想できないものです。そこで、「すべてをクラウドに!」を目指すことにしました。
なんてことをワークショップなどでお話しすると、こんな質問を受けることがあります。
「クラウドにすべてのファイルを入れておくのは不安じゃないですか? もし、事故などでデータが消えてしまったらどうします?」
たしかにおっしゃるとおり。たとえば、現在執筆中の書籍の原稿もすべてDropboxに保存し、担当編集の方とのやりとりもDropboxの共有フォルダーで行っています。万が一にも、これが消失したとしたら……。ほんと、考えたくもないですね。
原稿のほかにも、コンサルで使う資料やワークショップのスライドなど、ものすごくクリティカルなデータばかり。ちょっと大げさですが、ある意味、命の一部を預けているといっても過言ではありません。
もちろん、Dropboxほどのサービスなら、ユーザーのデータが消失するなんて確率は限りなくゼロに近いと思います。でも、完全に「ゼロ」とは断言できません。というわけで、次の項目も加えてみました。
② クラウドストレージに預けたファイルが堅固なバックアップの仕組みで守られていること。
とにかく、なにがあっても重要なファイルを失わないようにしておく。そのためには少々の出費や労力はいとわないという方針でやることにします。目指すは鉄壁のバックアップシステムです。
さらに、そのバックアップ先も単なる外付けディスクではなく、クラウドストレージにできれば最高です。万が一、Dropboxになんらかの障害があったとしても、その間、別のクラウド上に同じデータが保存されていれば、いつでもどこからでもアクセスできるからです。
データの消失を防ぐだけでなく、同時に「仕事を中断しなくて済む」状態を作る。これが2番目のこだわりです。
でもって最後にもう1つ、こんなのを加えておきます。
③ サイズや用途など、ファイルのキャラクターによって複数のクラウドサービスを使い分ける。
すべてのファイルをクラウドに預けるといっても、Dropboxの月額9.99ドルプランの容量は50GB。サイズの大きなiMovieやiPhoto、Apertureのライブラリなどを入れてしまうと、あっという間にパンパンになってしまいます。
ほかにもありますね。たとえば、音楽やアプリ、ポッドキャストのデータが詰まったiTunesライブラリ。オレの場合、4,000曲の楽曲と1,500本のアプリで、すでに65GBを超えています。
単純にすべてをDropboxに置くのではなく、サイズやおもにどの機器で共有するかなど、ファイルの特性に合わせて最適なクラウドサービスを使い分けてみようと思います。
というわけで、これら3項目の実現に向けて試行錯誤した結果、オレはDropboxとPogoplugを組み合わせて使うことにしました。
以前は、Dropboxの中味をすべてSugarSyncで同期させるという贅沢なことをやっていましたが、やはり容量の制限が悩みの種でした。Pogoplugはこの点を見事に解決してくれた、オレにとっての救世主です。
DropboxとPogoplugにはそれぞれ得意分野と不得意分野があります。そのあたりの特徴を見極めながら併用すると、かなり素敵なパーソナルクラウド環境ができあがるように思います。
ちなみに、オレのデスクトップはどのマシンでもこんな風になっています。
あるのはMac本体のディスクに、DropboxのエイリアスとPogoplugのドライブだけ。「すべてをクラウドに!」を実践すると、デスクトップもこんなにスッキリするんですね。
Dropbox編 〜 iPhone&iPadで活用するファイルを管理
さまざまな機能を持つDropboxですが、オレにとっての最大のメリットは「iPhoneやiPadアプリの多くが連携に対応している」ことと、「パソコン版アプリのできが秀逸で、Mac間の共有がしやすい」ことです。類似のサービスがいくつもリリースされるなか、いまだに他の追従を許さないDropboxの強みは、まさにこの点だと思います。
唯一の問題は50GBという容量の制限です。もちろん、アップグレードによって容量を増やせますが、次のコースが100GBで月額19.99ドル。金額が倍になる割には、焼け石に水という感じが否めません。
そこで、オレは「Dropboxに保存するファイル」をこう定義してみました。
・iPhone、iPad、Macで閲覧、編集する可能性があるもの。
・現像、リサイズ、編集済みの完成素材(写真のRAWデータなどは入れない)。
・アプリの設定同期用ファイル。
そのうえで、次のようなルールを決めています。
「プロジェクト単位でフォルダーを作成する」
あるファイルをDropboxに保存する際に、「これはどのプロジェクトに属するものか?」を常にチェックするわけです。
執筆中の書籍に関わるものなら書籍のプロジェクトフォルダーに、Keynoteのスライドならばワークショップのプロジェクトフォルダーにと、とにかくプロジェクト単位で考えます。
これによって、そのファイルが保存に値するものか、それともゴミ箱行きでいいのかが見えてきます。もし、Dropboxを使っていなかったとしたら、デスクトップにずっと放置されることになるであろうものたち。いわゆる使途不明のファイルを見つけられるわけです。
なかには、ソーシャルメディアに投稿するために撮った写真など、判断に困るものも出てきます。その手のファイルに遭遇したら、将来も同様のものが出てくることを見越して「Social Photo」などのプロジェクトフォルダーを作っておくようにしています。
というわけで、こちらがオレのDropboxの中味です。
おおよそ、書籍やワークショップ、ブログ関係などのプロジェクト別にフォルダーが並んでいます。「TextExpander」や「TaskAgent」など、アプリが同期のために勝手に作成するフォルダーもあります。
これによって、iPhone、iPad、Macのどの機器でもファイルを見たり、編集したりできるようになるわけですが、この際に注意しておきたい点があります。ローカルとクラウド間の「同期の順序」ですね。
ファイルやフォルダーはまず、ユーザーディレクトリー(ホームディレクトリー)内のDropboxフォルダー、すなわち、ローカルに保存されます。その後、自動的にインターネット経由でクラウド上にも変更が反映される仕組みになっています。
ファイルをクラウドに保存しているというよりは、ローカルにあるDropboxフォルダーとクラウド上のデータが「同期している」と考えるとわかりやすいと思います。
同期が完了している(ローカルとクラウド上のデータが同じ内容になっている)かどうかは、ファイルの左下に付いた[チェックマーク]の色を見ればわかります。水色なら未同期、緑色になっていれば同期ずみです。
たとえば、出がけにデスクトップでその日使うスライドを作成していたとします。本番ではMac Book Airなど別のパソコンを使います。このとき、Dropboxフォルダーに保存したファイルのチェックマークが緑色になっているかを確認するのが重要です。
もし、チェックマークが水色のまま(クラウドに未転送の状態)でデスクトップをスリープもしくはシャットダウンすると大変なことになります。会場に着いてMac Book AirのDropboxフォルダーを開いても、作成したはずのスライドは見つかりません。
自宅のデスクトップをMac A、会場で起動したMac Book AirをMac Bとすると、同期の順序は次の図のようになります。
赤い矢印はインターネットを表しています。デスクトップで保存したファイルのチェックマークが水色の状態が①、Dropboxにアップロードされ、緑色になったら②、Mac Book Airにもダウンロードされ、緑色のチェックが付いたら③という流れになります。
ちなみに、Dropboxには「LAN Sync」というめちゃくちゃ賢い機能があります。上図はMac AとMac Bが別の場所にあり、インターネット経由でDropbox内のファイルを共有しているイメージです。
もし、Mac AとMac Bが自宅のLANにつながっていたとしたら、Dropboxはそれを察知し、LANを使ってMacAとBをダイレクトに同期させるらしいのです。先の図と比べるとこんな感じになります。
LAN内ではDorpboxサーバーを経由せずに、LANを表す青色の矢印で同期します。もちろん、これによって同期のスピードが速くなります。
つまりは、先のスライドの例では、デスクトップとMac Book Airを両方起動しておき、LAN経由で同期させて双方のチェックマークが緑であることを確認してから出かける。これが確実なやり方ということになります。
また、ローカルのユーザーディレクトリー(ホームディレクトリー)にDropboxフォルダーの中味がすべて保存されているため、「Dropboxを使ってもパソコンのハードディスクを節約することにはならない」という点も重要です。
たとえば、新しく購入したMac Book AirなどにDropboxアプリをインストールすれば、それまで他のパソコンでDropboxに保存してきたすべてのファイルがそのままコピーされます。
このような場合は、メニューバーのDropboxアイコンをクリックして、[設定]→[高度]→[設定の変更]ボタンから、同期させるフォルダーを選んでおくのがおすすめです。
上図の画面が表示されたら、使わないであろうフォルダーのチェックをはずします。iPhoneやiPadのアプリが勝手に作成する同期用フォルダーや、すでに完了したプロジェクトのフォルダーなどが「はずす」候補になると思います。
このほかにオレは、ブログを書くのに使う「MarsEdit」や、書籍の原稿作成に欠かせない「Scrivener」といったアプリの設定ファイルをDropboxに保存して、Mac間で共有しています。
これらのエディター系アプリでは、表示フォントやマージンなど文書作成を快適に行うため、初期設定にかなり手を加えます。それを各Macごとにやるのはものすごく面倒なんですね。
たとえば、1PasswordやTextExpanderなどには、Dropboxに保存した設定ファイルを各機器で同期する機能があります。これを使えば、MacからiPhone、iPadまで、すべてのアプリを一瞬にして同じ設定にできてしまいます。
残念ながら、多くのアプリはこの便利な機能に対応していません。しかたがないので、こういう乱暴な手を使っているわけです。
方法としては、まず、ユーザーディレクトリーの直下にある[ライブラリ]→[Application Support]内のアプリ設定フォルダーを、バックアップを取ったうえでDropboxフォルダーに移動します。次に、ターミナルで[ln -s]コマンドを使って、元の場所に「シンボリックリンク」を作成します。
Macの「エイリアス」でも同様のことができそうな気がしますが、残念ながらこの設定はシンボリックリンクでないと機能してくれません。
かなり強引な方法でもあり、コンフリクトなどのトラブルもあり得るうえに、ターミナルでコマンドを打つなんてこともやらなくてはならないので、ここではサラッと紹介するだけで終わりたいと思います。
Pogoplug編① 〜 サイズの大きな素材の元データを管理する
はい、ここからいよいよ、もう1つのクラウドサービス「Pogoplug」の出番です。
先に、Dropboxのメリットを「iPhone、iPadアプリでの連携」と「Mac間での共有」と書きました。問題点は50GBという容量です。
対するPogoplugの最大のメリットは、クラウドストレージでありながら、ハードディスクを自前で増やせるという点です。2TBの3.5インチディスクが1万円を切ったいま、かなり魅力的なサービスだと思います。
パフォーマンスの点で、自宅に置かれたディスクに外からアクセスするというのが心配でしたが、実際に使ってみると、フォルダーを開いたときに1、2秒の待ち時間が発生する程度で、ファイルのダウンロードやアップロードはそれほどストレスなくいけます。ちなみに、自宅の回線は集合住宅用の光ファイバーです。
唯一の問題はiPhoneとiPadアプリでの利用です。ふだん使っているiPadの手書きメモアプリやテキストエディターでPogoplugに対応しているものは、オレの知るかぎり皆無です。
現在のPogoplugでは、アプリから直接クラウドにアクセスしてファイルをダウンロードし、編集後に再びクラウドに保存という、Dropboxではあたりまえの使い勝手が得られないんですね。
解決策としては、Pogoplugの専用アプリから「次の方法で開く…」で、使いたいアプリにファイルを送る方法がありますが、これでは編集後にPogoplugに保存しなおすことができません。
ちなみに、「次の方法で開く…」ができるのはiPhone版だけで、なぜかiPad版は対応していません。さらに、そのiPhone版はユニバーサルになっていてiPadでも問題なく使えてしまうという……。謎は深まるばかりです。
というわけで、残念ながらいまのところ、iPhoneやiPadでの活用はあまり期待できないというのがオレの結論です。
Pogoplugのアプリにはディスクに保存してある音楽や動画をストリーミング再生できる機能もありますが、そういった類のファイルはすべてiPhoneに転送してあるため、やはり個人的には利用頻度は高くありません。
ただし、Macでの使い勝手となると話は別です。アプリをインストールして専用IDでログインすると、Pogoplugに接続したドライブがMacにマウントされます。もちろん、インターネットに接続してさえいれば、外出先からでもこの中のファイルを開いたり、編集して保存したり、自由自在にできてしまいます。
Pogoplugに関してはいろいろと試行錯誤してきましたが、まずは「複数のMacを連携させる」目的で使うのがもっとも効果的かなと思います。もちろん、自宅のLANだけでなく、インターネット経由での共有も含みます。
さらに、使える容量が実質、無制限に近いという特徴もふまえて、Dropboxに対してこちらは「サイズの大きなファイルをMac間で共有するためのクラウド」と位置づけてみました。
そんなわけで、こちらがオレのPogoplugです!
自宅のハードディスクをパーソナルクラウドに変える!
Pogoplug Pro POGO-P01(8,600円/アマゾン価格)
Pogoplugには「通常版」(Pogoplug POGO-E02)のほかに、Wi-Fi機能が付いた「Pro」と、マルチユーザーや閲覧権限のみでファイルを共有する機能などが付いた「Business」の2つのモデルがあります。
オレは通常版のピンク色が苦手だったのと、Wi-Fi機能に期待してProを購入しましたが、有線のほうがパフォーマンスがよかったため、結局イーサネットケーブルをつないで使っています。
あのピンクのデザインに抵抗がなければ、やはり、アマゾン価格で5,980円の通常版がおすすめです。
さて、目的は「サイズの大きなファイルをいつでもどこでもMac間で共有する」ことです。まず、オレが目を付けたのは、おもにブログの素材として使う写真と動画でした。
これまで、写真や動画は元データも含めてすべてDropboxに保存していました。ところが、本数が増えてくると、こいつが結構な容量になってくるんですね。おそらく、あと数か月もすればDropboxのマックスである50GBを越えそうな勢いです。
もちろん、ブログの制作は自宅のiMacでも、外出先のMac Book Airでも行うため、クラウドに保存しておくのは必須です。そこで、これら容量を喰う素材の「元データ」をすべてPogoplugに保存することにします。
都合のいいことに、デジカメから写真や動画をWi-Fi経由で転送できる「Eye-Fi」という便利なものがあります。この転送先をMacのディスクではなく、Pogoplugにしておくというのがオレの解決策です。
Eye-Fiの設定画面を開いて……
上図のように、[写真][RAW][動画]のアップロード先をすべてPogoplugの任意のフォルダーに設定しておきます。
あとは、ApertureやLightroomなどのアプリでPogoplugに送られたRAWデータを読み込み……
テイクの選択や現像、リサイズが完了したら……
実際にブログで使用するものだけをDropboxのプロジェクトフォルダーに書き出します。
これで、ラフな「元データ」はPogoplug、完成品としての「素材」はDropboxという流れができあがります。容量の面で余裕のあるPogoplugには適当に詰め込んでおき、厳選したものだけをDropboxに入れるという切り分けが、自分でもかなり気に入っています。
Pogoplug編② 〜 堅固なクラウドバックアップ環境を作る
次は冒頭に挙げたこだわりのうち、
② クラウドストレージに預けたファイルが堅固なバックアップの仕組みで守られていること。
この実現に向けて、同じくPogoplugに活躍してもらおうと思います。まずは、あのDropboxをまるごとバックアップします。
Pogoplugを使う上で気をつけたいのは「ハードディスクはいつか必ず壊れる」という点です。Dropboxに保存したデータを消失から守るというのがそもそもの目的。そのバックアップ先であるディスクがいつか壊れる宿命にあるとしたら、なんらかの対策を講じておかないわけにはいきません。
どうせやるならとことんやってやろうと思い、オレが購入したのがこの製品です。
5種類のRAID環境が手軽に構築できる!
センチュリー 裸族のインテリジェントビル5Bay USB3.0 eSATAコンボ CRIB535EU3(24,691円/アマゾン価格)
はい、オレはPogoplugのディスクとしてRAIDを使うことにしました。
RAIDは、複数のハードディスクを仮想的な1台のディスクとして運用する技術で、おもに、いつか必ず壊れるハードディスクの信頼性を高め、データの消失を防ぐ目的で使われています。
RAIDにはさまざまな方式がありますが、「CRIB535EU3」はRAID 0、1、3、5、10に対応しています。オレが使っているのはこのうちのRAID 10で、4台のハードディスを使って構成します。
ここでは、まず、2台のディスクに分散して読み書きを行います。AとB、2台の組み合わせを1台のディスクに見立てるわけですね。これは読み書きを高速化するための「ストライピング」と呼ばれる技術です。
そのうえで、AとBをそれぞれ別のディスクにミラーリング(コピー)します。つまり、4台のディスクの振り分けは
Aチーム:[A+AをミラーリングしたA’]
Bチーム:[B+BをミラーリングしたB’]
となるわけです。
もし、このうちの1台が壊れても、データが損なわれることはありません。これだけでもバックアップの仕組みとしてはかなり強固です。
加えて、同時に2台が壊れた場合でも、それが[AとA’]か[BとB’]の組み合わせでなければ、同様にデータは失われません。つまり、[AとB][AとB’][A’とB][A’とB’]のいずれかが残っていればセーフということです。2台同時に壊れた場合でも3分の2の確率でデータは生きていることになります。
また、ディスクが故障している間も読み書きを行え、壊れたディスクだけを交換すれば自動的に4台が正常に動いている状態に復旧してくれます。
ただし、使える容量は4台の合計の半分。オレの場合、2TBのディスクを4台入れているので、計8TBの半分の4TBとなります。
当初、RAID 10よりもディスクを有効に使えるRAID 5にしようと思い、5Bayのこの製品を購入したのですが、趣味がRAID構築というマニアックな知人から「RAID 5はディスクが故障した際にものすごくパフォーマンスが落ちるし、ディスクを交換した際の復旧にも時間がかかる」と教えてもらい、RAID 10に変えました。
2台のペア2組で構成されるRAID 10では、5台という組み合わせはできません。つまりは、4Bayの「CRIB35EU3」(20,968円/アマゾン価格)を買ったほうがよかったということです。
「失敗した!」と落ち込むオレに、先の趣味がRAID構築の知人がひと言。「その空いたBayに壊れた時用の予備ディスクを入れておくんですよ」。それを聞いてものすごく気持ちが楽になりました。もちろん、今後も予備のディスクを購入する予定はありませんが……。
この手の製品はほかにもいくつか発売されていますが、ルックスとハードディスクの取り付けが簡単という点でセンチュリー製を選びました。こんな風にふたを開けて……
3.5インチのHDDを差し込み、ふたを閉じるだけで取り付け完了です。めちゃくちゃ簡易ですが、扉に鍵がかけられる点もなんとなくそれっぽくて気に入っています。
ちなみにディスクは、回転数にこだわって「日立 HGST 3.5inch 7200rpm 2.0TB 64MB SATA 6.0Gbps 0S03191」(7,699円/アマゾン価格)を4台購入しました。しかし、2TBで8千円を切るなんて、ディスクも安くなりましたねぇ。
すべてのディスクをケースに入れたら、背面のスイッチを下図のように組みたいRAIDの種類に合わせて設定し、同じく背面のボタンを押しながら電源を入れるだけ。これでRAIDの設定は完了します。
所要時間はほんの数秒といったところです。信じられないくらい手順は簡単で、専門的な知識もほとんどというか、まったく必要ないと思います。
「ピー」という音がなってRAIDの構築が終わったら、USBでパソコンにつないでフォーマットしたあと、Pogoplugに接続すれば1つのドライブとして認識されます。
Pogoplug編③ 〜 Dropboxを丸ごとバックアップする
では、さっそくDropboxの中味が自動的にPogoplugに保存されるように設定してみます。
まず、Macの[システム環境設定]から[Pogoplug]を選び、[リモートアクセス]タブで[Pogoplugリモートアクセス]を[有効]にします。
右下の[追加]ボタンをクリックします。
[ユーザーディレクトリー](ホームディレクトリー)の直下にある[Dropbox]フォルダーを選んで[開く]をクリックします。
[リモートアクセス]タブの[フォルダ名]一覧に「Dropbox[kurazonoのiMac]」のように表示されればOKです。
次に、ウェブ版のPogoplugコントロールパネル「My Pogoplug」にアクセスして、右上の[設定]をクリックします。[アカウント設定]画面が表示されたら、左ペインの一番下にある[アクティブ・コピー設定]をクリックします。
右ペインの下にある[アクティブ・コピーを新規フォルダに設定]をクリックします。
[アクティブ・コピー – コピー元の選択]画面で、左ペインのコンピュータ名を選びます。先の[システム環境設定]で追加したフォルダーがここに表示されます。[Dropbox]フォルダにチェックを付けて[次へ]をクリックします。
もし[Dropbox]が表示されていない場合は、もう一度[システム環境設定]でフォルダーが登録されているかをチェックし、OKならパソコンのPogoplugアプリを再起動してこの手順をやり直してみてください。
次はコピー先の設定。左ペインから[Pogoplug Pro](ピンクの標準版は[Pogoplug]でしょうか?)を選び、接続しているディスクを表示させます。
バックアップに使いたいディスクを選び、フォルダー部分をクリックします。これでディスクの中味が表示されます。
右上の[+フォルダー]アイコンをクリックします。[新規フォルダ]画面でDropboxを保存するフォルダー名を入力して[はい]をクリックします。オレはコピー元と同じ「Dropbox」という名前を付けました。
最後に[終了]をクリックします。
これで、[アクティブ・コピーに設定されているフォルダ]の一覧に、ローカルのDropboxフォルダーをPogoplugのディスクにコピーする設定が加わります。
こんな風に表示されていれば成功です。
[送信元]:ルートオンDropbox[コンピュータ名]
[送信先]:Dropboxオン[ドライブ名]
送信元の[有効]という文字の右側を見ると、アクティブ・コピーの状態がわかります。更新が完了していれば「更新されています」、更新中なら「シンクロ中87%完了」、待機状態なら「ペンディング」とそれぞれ表示されます。
以上で設定は完了です。これ以降、Dropboxの中味は定期的にPogoplugにコピーされるようになります。
ただし、Pogoplugのアクティブ・コピーをバックアップに使う際に、気を付けておきたいことがいくつかります。まず、この機能は「同期」ではなく、あくまで「コピー」という点ですね。
同期の場合は、Dropboxフォルダーのファイルを削除すれば、バックアップ先でも同様に削除されます。アクティブ・コピーは新たに作成されたファイルやフォルダーを追加するのみで、けっして削除はされません。
つまりは、Dropboxに保存したことがあるファイルやフォルダーが、どんどんPogoplugのディスクに追加されていくということです。同期のほうがいいような気もしますが、万が一、Dropboxのサーバー上のデータが消えたとしらどうでしょう。同期であれば、同期先のディスクでも同じようにデータがなくなってしまうかもしれません。
Pogoplugのアクティブ・コピーは「なにがあってもファイルを消失させない」という目的においては、かえって都合がいいように思います。削除せずに追加のみという太っ腹なディスクの使い方も、Pogoplugらしい感じがします。
では、同名のままファイルを編集して中味を書き換えた場合はどうなるか? こちらはなんども実験してみましたが、しっかり新しい内容に更新してくれます。というか、これができなければバックアップとしては使えませんからね。
もう1つの問題はタイミングです。コピー元のDropboxフォルダーはパソコンのディスクにあります。あたりまえのことですが、パソコンを起動している間しかコピーは行われません。
オレは、先に書いた「アクティブ・コピーの状態」をチェックして、「更新されています」となっていない場合は、寝るときなどにパソコンを起動したままにしてコピーが完了するようにしています。
さらに、Pogoplugはアクティブ・コピーをどのタイミングで行うかの設定ができません。いったい、こいつはいつどんな条件で、どのくらいの間隔でコピーをしているのか? いろいろ調べてみましたが、いまだに謎のままです。
Dropboxのように、リアルタイムでファイルに変更があったときなら最高なんですが、そうでもないようです。遅いときは半日くらいの間コピーされていないこともあったりします。ここは1つ、せめて手動の「いまからコピー開始」ボタンくらいはつけてほしいですね。
Pogoplug編④ 〜 ライブラリ、プロジェクト系のファイルを管理する
さて、これで「② クラウドストレージに預けたファイルが堅固なバックアップの仕組みで守られていること」はなんとか実現できました。あとは、「③ サイズや用途など、ファイルのキャラクターによって複数のクラウドサービスを使い分ける」を残すのみです。
オレは以前から、Macで次のフォルダーに保存されるファイルの扱いに困っていました。
・ミュージック
・ピクチャ
・ムービー
この3つのフォルダーには音楽、グラフィック、動画など、おもにメディア系のアプリが生成する「ライブラリ」や「プロジェクト」ファイルが保存されます。たいていはサイズがバカでかいものばかり。やはり、Dropboxに入れるのは躊躇してしまいます。
さらに、この手のファイルの多くはiPhoneやiPadアプリでは開けません。もっぱらMac間で共有することになるはずです。それならば、「サイズの大きなファイルをMac間で共有するためのクラウド」と位置づけたPogoplugに活躍してもらおうというのがオレの結論です。
ただし、ライブラリやプロジェクト系のファイルは、アプリによって扱いが異なるため、管理の方法が悩ましかったりします。具体的にはおおよそ次のような系統に分かれると思います。
① ライブラリをPogoplugに手動でコピーまたは移動しておき、アプリ起動時に読み込むライブラリとしてPogoplug上のものを選ぶ。
これに該当するアプリには、iTunes、iPhoto、Apertureなどがあります。
Pogoplugに移動したライブラリを読み込む際は、[option]キーを押しながらアプリを起動します。これで、次のようなライブラリ選択画面が表示されます。
こちらはApertureの選択画面。左下の[その他のライブラリ]を押して、Pogoplugのディスクから「Aperture Library」というファイルを選びます。一度でも選択したことがあるライブラリは、[ライブラリ名]一覧に表示され、どのディスクに保存されたものかもわかります。
iTunesやiPhotoでも同様の手順で使用したいライブラリを選べます。ただし、ライブラリのサイズが大きくなると、読み込みに時間がかかったり、読み込んだあとのパフォーマンスが落ちたりと、いろいろ問題も出てきますね。
② プロジェクトをPogoplugに手動でコピーまたは移動して、ダブルクリックで開く。
こちらの代表はiMovie。プロジェクトをダブルクリックで直接開けますが、保存場所は選択できないため、手動でPogoplugに移動かコピーします。
② プロジェクトの保存先をPogoplugにして、ダブルクリックで開く。
LogicやGarageBand、AdobeのLightroomなどがこれに当たります。先の2つの例と違って保存先を自由に指定できるため、Pogoplugでの活用はいたって簡単です。
このほかにも上記3つとは異なる方法で、ミュージック、ピクチャ、ムービーの各フォルダーを利用するアプリがあります。スクリーンキャプチャーアプリのSkitchなんかがそうですね。
では、それぞれに管理方法が異なるメディア系フォルダーを、どのようにPogoplugと連携させるか。こちらもいろいろ試してみて、次のように決めました。
① メインのMac(オレの場合はiMac)ではすべてローカルに保存。
② メインのMacのメディア系フォルダーをPogoplugにアクティブ・コピー。
③ 他のMacでは、パフォーマンスに問題ない場合は、Pogoplug内のライブラリやプロジェクトを使用。
アプリごとにいろいろ対処するよりは、メディア系フォルダーを丸ごとPogoplugにコピーしておき、必要に応じてこれを使うのがもっともシンプルではないか。これが現時点の結論です。
③の「パフォーマンス」は、とくにLogicやiMovie、Final Cutなど、編集中もリアルタイムにディスクにアクセスすることが多いアプリは要注意です。結論からいうと、現時点では、これらの音楽系、動画系アプリでクラウドストレージを活用するのは無理があると思います。
もしかしたら、回線の増強やストリーミング技術の進化によって、近いうちに一般のユーザーでも使える「メディア系専用クラウド」が登場するかもしれません。それまでは、FireWireかThunderbolt対応の外付けディスクを使うのが得策でしょうね。
ということで、こちらの設定に関しては、すでにDropboxで解説したのと同じことをやるだけです。
まず、[システム環境設定]で、Pogoplugの[リモートアクセス]タブを開き、[追加]を押して3つのメディア系フォルダーを登録しておきます。
[ミュージック][ピクチャ][ムービー]の3フォルダーが[フォルダ名]一覧で見えていればOKです。
次に、「My Pogoplug」の[アクティブ・コピー設定]で、それぞれのフォルダーがPogoplugのディスクにコピーされるよう設定します。
[送信元]にコンピュータ名、[送信先]にPogoplugのディスク名が表示されていれば成功です。
いろいろとやってきましたが、以上で、DropboxとPogoplugを使った「堅固なパーソナルクラウド環境」は完成です。
最後に、RAIDケースを購入する前に使っていたバッファロー製の外付けディスクが余っています。容量も2TBほどあり、遊ばせておくのはもったいないので、こいつも今回のシステムに組み込んでしまおうと思います。
まず、[アクティブ・コピー設定]でコピー元にRAIDディスクを選びます。
これまで、コピー元はすべてコンピュータでしたが、今回は左ペインから[Pogoplug Pro]を選んで、ディスクを丸ごと指定します。
次に、コピー先にとして余っていたバッファローの外付けディスクを選びます。
こちらも、フォルダーなどではなくディスク丸ごと選択です。これで、ディスクから別のディスクへのアクティブ・コピーが設定されます。
万が一、RAIDを構成するディスクが同時に3台壊れてもこれなら万全! というか、さすがにもうやり過ぎの領域に入ってますね。まぁ、余ったディスクがあったからということで……。
実はこの方法を使うことで、あえてRAIDケースを購入しなくても、疑似的な「RAID 1」(ミラーリング)ができてしまいます。Pogoplugをバックアップ目的で使うなら、やはりこのくらいはやっておいたほうがいいと思います。
オレの場合、さらにTime Machineも併用しています。ここまでやっておけば、ローカル、クラウドストレージも含めて、データが消失するなんて目に遭わずにすむと思います。
それでも、なんらかの災害や事故でデータがすべてなくなったとしたら、もう笑うしかないという感じで、確率的にあり得ない目に遭った不ヅキを逆に利用して宝くじでも買いに行きますね。
本当に長くなってしまいましたが、これにて『DropboxとPogoplugで作る、かなり堅固なパーソナルクラウド環境』は終了です。利用する機器やアプリによってはさらに別の工夫が必要になるかもしれませんが、今回の記事がなにかのヒントになれば幸いです。
もちろん、新しいサービスが登場することで、このやり方が大きく変わることもありえます。とくに、リリース間近の「iCloud」の影響は大きくなりそうな予感がしますね。今後も、さらに快適で堅固な仕組みを模索してみようと思います。
ということで、長文におつきあいいただき、本当にありがとうございます。では、また!
論理障害に対する対策がないですね。
間違って真っ白なデータを上書き保存してしまうとか、
アプリのエラーでファイルが壊れるとか。
そういうときにpogoplugのデータまで
汚染されてしまう欠点があります。
数世代分消さずに取っておくとかすると、
よりかっこいいですよ。
RAID10で4本じゃなくてRAID1で2本とRAID5で3本にして、
cronとかで日次差分をバックアップしていく仕組みを作るとか。
pizzaさん、コメントありがとうございます!
そうですね、たしかに論理障害の対策がありませんでした。また、世代管理もあったほうがいいと思います。
勉強になりました! もっと精進いたしますw