2011年8月4日 10時25分 更新:8月4日 21時35分
政府・日銀は4日、歴史的な円高を是正するため、円売り・ドル買いの為替介入を実施した。介入は、東日本大震災直後に日米欧が協調介入した3月18日以来、約4カ月半ぶり。一方、日銀は4日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和を決定した。金利低下を促す緩和策と介入の「合わせ技」で円高の進行に歯止めをかけ、震災から立ち直りつつある日本経済を下支えしたい考えだ。
4日の東京外国為替市場は1ドル=77円台前半で始まったが、午前10時の介入後は79円台後半まで円が急落。ロンドン市場では一時、1ドル=80円台を付けた。介入は日本単独で行い、同日午前、緊急会見した野田佳彦財務相は「無秩序な動きには断固たる措置を取る」と強調した。
一方、日銀は当初5日まで2日間の日程で行う予定だった決定会合を4日だけに短縮し、同日午後、追加の金融緩和策を発表。具体的には、社債などの資産買い取りや超低利の資金供給を行う「基金」(現行で40兆円)を10兆円積み増し、50兆円とした。日銀の白川方明総裁は追加緩和を前倒しで決めた理由について「速やかに決定、公表していくことが金融資本市場の安定を確保し、企業マインド、経済活動の下ぶれを防ぐ」と説明。さらに「海外経済は引き続き大きな不確実性を抱え、(急激な円高などは)日本の企業マインド、経済活動にマイナスの影響を与える可能性がある」と円高による景気下ぶれリスクに強い警戒感を示した。
この日の会合で日銀は基金の増額のほか、政策金利(無担保コール翌日物)は現行の0~0.1%程度に据え置き、実質ゼロ金利政策を維持することを決めた。
政府・日銀が足並みをそろえたのは、7月以降の急激な円高が「日本経済に打撃を与える」との懸念が強まったため。8月1日にはニューヨーク市場で一時1ドル=76円29銭と震災直後の戦後最高値(76円25銭)に接近していた。【谷川貴史、井出晋平】