東日本大震災からあすで半年。被害規模が大きい東北3県だけでなく、震源から遠く離れた県内でも、転出が増えたり、人口の増加傾向が止まる自治体が出てきた。関係者からは、原発事故や液状化など震災の影響を指摘する声も出ている。
原発事故の影響で、空間放射線量が比較的高い柏市は1日現在の人口が3年3カ月ぶりに149人減少した。市の担当者は「全員とは思わないが、他に理由を思いつかない。放射能を心配して引っ越したケースもあった」と説明する。05年のつくばエクスプレス開通以来過去6年、この時期は前月比120~462人増が続いていた。
秋山浩保・柏市長は「放射線量は健康に問題のないレベルだと専門家から聞いているが、科学的に100%安全と証明できないので、市民が行動を起こすことは止められない」と話す。隣接する流山市も年3000人前後の増加傾向から急減速し、8月は前月比36人減。今月もわずか3人増にとどまった。
両市に隣り合う松戸市の人口も8月から2月連続で減り、2年前の水準に逆戻り。同市は毎年4~5月に転入による人口増が見られるが今年は2カ月で170人だったという。
本郷谷健次・松戸市長は「4月の異動時期などで減少することはあるが、心配な数字」と顔を曇らせた。
一方、液状化被害が激しかった浦安市は、震災後の4月から5カ月連続で人口が流出。担当者は「例年4~5月に増えそれ以降は横ばい傾向。続けて減ることはここ数年なく、震災の影響が少なからずある」とみる。
同市の8月末現在の人口は前月より238人減。3月末より1391人減った。市教委によると、市立小中学生の数は5月1日から8月1日まで34人減。担当者は「地震の影響と言えるかどうかはまだわからない」と話している。【早川健人、橋口正、山縣章子】
毎日新聞 2011年9月10日 地方版