ドジャースの放蕩経営問題は、黒田博樹投手(36)の給与遅配に発展するほど、深刻の度を深めている。大リーグ機構からTV放映権の新規契約締結に関する不認可制裁を受けたオーナーのフランク・マッコート氏(58)の命運は風前のともしび。怪気炎を上げて抵抗しているが…。
本拠地ドジャースタジアムは最近やけに空席が目立つ。21日のタイガース戦の観衆は3万7769人と発表されたが、米紙USA TODAYは水増しと指摘。「実際に球場に足を運んだファンは1万8000人に過ぎない」と報じている。
観客の実数が激減しているのは、ファンが観戦ボイコット運動を展開しているからだという。マッコート夫妻によるズサンな球団経営で膨らんだ球団の負債は4億ドル(320億円)に上るともいわれている。ファンが怒るのも当然だ。
ドジャースの経営問題を重く見たバド・セリグ大リーグコミッショナーは4月、マッコート氏からドジャースの経営権を剥奪。さらに今週、FOXスポーツと30億ドル(約2400億円)の放映権契約を結ぼうとしていたマッコート氏にNOを突きつけている。
資金繰りが苦しくなったドジャースは、30日に迫っている選手への給与支払いが事実上できない状態。マッコート氏によるドジャース支配は終焉に近づいており、すでに、ドジャースOBのO・ハーシュハイザー氏の投資家グループ、NBAマーベリックスのオーナー、マーク・キューバン氏などが買収に名乗りを上げている。
それでもマッコート氏はあきらめずに抗戦姿勢を崩していない。セリグ・コミッショナーの一連の処置を「アン・アメリカン」(アメリカ人らしくない)として法廷闘争の構え。「球団を手放したとしても、ドジャースタジアムの駐車場やチケット販売収入の大部分の権利は自分にある」と主張している。
スタンドを青く染めたファンの熱い声援が戻ってくるのはいつのことか。球団が選手放出を決めた場合の第1候補とされる黒田の給与と処遇はいったい…。