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【千葉】

サイバー犯罪 摘発急増 1〜8月 県内157件

ネット上の違法行為を監視する捜査員=県警本部で

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 インターネットを悪用して金をだまし取ったり、わいせつな画像を流したりするサイバー犯罪の摘発件数が、県内で急増している。一〜八月末で百五十七件と昨年同期の八十七件のほぼ倍。六月には約一億円を荒稼ぎしていたフィッシング詐欺グループが摘発された。県警が今年から担当捜査員を大幅に増やしたことが功を奏した形だが、パソコンが広く社会に浸透し、こうした犯罪に手を染める人のすそ野は広がる一方。捜査側とのいたちごっこが続いている。 (宇田薫)

 県警のサイバー犯罪対策室は四月、人員を二十八人増の五十一人と体制を大幅に強化。関係部署との連携を強めるため、九月に生活安全、刑事、警備、交通各部計十八所属の捜査員百八十人が参加し、情報共有して捜査に当たる「県警サイバー犯罪対策プロジェクト」も発足させた。

 一九九九年に発足した対策室の体制強化に県警が乗り出したのは、全国的にサイバー犯罪の認知件数が上昇傾向にあるからだ。

 ネット上に氾濫する有害情報の通報を受け付けるインターネット・ホットラインセンターの統計によると、同センターに全国から寄せられた通報は昨年で約十七万六千件。二〇〇七年の約八万五千件から四年間で倍増している。

 対策室が懸念するのは、サイバー犯罪に手を染める層の変化だ。担当者は「以前は(コンピューター技術に精通した)ハッカーと呼ばれる人たちの愉快犯のような事例が目立ったが、専門的な知識のない人が手軽に金が稼げると犯行に及ぶケースが増えた」と話す。

 対策室によると、六月に約一億円を荒稼ぎし、摘発されたフィッシング詐欺グループの場合、ポータルサイト「ヤフー」そっくりの偽サイトを作成。ヤフー利用者に「会員情報を変更して」と偽のメールを送り付けて偽サイトにおびき寄せ、クレジットカードの暗証番号や有効期限を入力させ、その情報でパソコンなどを購入したり、タクシー料金を支払ったりしていた。

 だが、事件の主犯格の男(28)にパソコンの専門的知識はなく「知り合いから引き継いだシステムを見よう見まねで使っていた」と話しているという。

 県警は一般市民を対象にした「ネット安全教室」を開き、防犯意識の向上に苦心しているが、被害に遭う人は後を絶たない。ネットショッピングが一般に普及し、ネット上でクレジットカードを使うことに抵抗感が薄れていることも、犯罪急増の背景にある。

 担当者は「とにかく安易に個人情報を提供しないこと。サイバー犯罪から身を守るにはそれしかない」と注意を呼び掛けている。

 

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