2011年9月30日8時2分
東京都が、1986年のチェルノブイリ原発事故以来続けてきた輸入食品の放射能検査を今年度から中断している。理由は、東京電力福島第一原発事故で決まった国内産食品の放射性物質の基準が、輸入品の基準と異なるためだという。放射能汚染に関心が高まるなか、輸入品のチェックはなおざりになっている。
輸入の際、国が特定の産地や品目に絞って検査しているのに対し、都は市場などで様々な食品を抜き取り、広く網をかけている。2009年度は野菜や肉類、きのこ、ジャムなど616品目を調べ、仏産ブルーベリージャムが基準値を超えた。
しかし、都はその作業をやめている。国は原発事故の後、国内産の肉や野菜などの放射性セシウムの暫定基準値を1キロあたり500ベクレルとした。一方、輸入食品の基準値は370ベクレルと定められてきた。「両方の基準の間の輸入食品が見つかった場合の対処に困る」(都の担当部署)。400ベクレルの食品が出た場合、国内産なら流通可能だが、輸入品だと回収になり、消費者の混乱を招く恐れがあると考えたという。
都の輸入食品向けの検査装置は計4台。1回30分程度で測定できるが、4台は休眠状態で、国内産食品の検査に転用もされていない。都は国に「自前の検査機器をフル回転させ食品などの検査を実施している」と説明しているが、セシウムによる汚染牛肉などの検査に追われた際も使われなかった。
都は「国内産の食品の検査は流通前に出荷元で行うのが基本」と説明し、すでに市場で独自に検査をしている牛肉を除いて「入荷した食品の検査を広げる考えは今のところない」としている。(福井悠介)
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