平野達男復興担当相は1日、東日本大震災の復興事業の企画・調整、実施を担う「復興庁」の組織イメージを明らかにした。司令塔となる本部を東京に設置し、岩手、福島、宮城3県に「復興局」などの支部を置くほか、津波被害に遭った沿岸部にも数カ所の出先機関を置く方針。同庁の機能については「すべての権限を集めて強力に指導する前提には立っていない」と述べ、被災自治体の支援に重点を置く考えも強調した。東京都内で記者団に語った。
復興庁については「本部を東北に設置すべきだ」という声が出ているが、平野氏は「本部は司令塔として東京に置くのが基本だと思う。3県に支部を置くのが一つのイメージだ」と述べ、被災地と中央省庁の調整に当たる本部は東京に置くのが適切との考えを強調。さらに「沿岸に何カ所か(出先機関を)置き、じかに市町村を回るような仕組みもあっていい」と述べた。
また平野氏は、復興庁のあり方について「復興事業の執行は、ほとんど県や市町村が主な役割を果たす。(国は)市町村に復興計画を決めてもらう流れは維持することが大事だ」と指摘。復興庁は地元自治体の要望を聴取し、調整する役との考えを示した。
復興庁は省庁縦割りの弊害を廃して復興を迅速に進めるため、施策の企画や総合調整、実施権限を持たせる新組織。6月に成立・施行された復興基本法で早期設置が定められた。自公両党などには復興庁について、各省庁から権限を移譲して強力に施策を進める「スーパー官庁」を求める声があり、自治体のサポートを重視する平野氏の構想とは温度差がある。
政府は次期臨時国会に復興庁設置法案を提出する方針で、早ければ来年1月の設置を目指しているが、同庁のあり方については今後の与野党協議などでさらなる議論となりそうだ。【中井正裕】
毎日新聞 2011年10月1日 20時55分(最終更新 10月1日 23時35分)