東京電力は1日、復旧作業中の福島第一原発1〜3号機で、仮にすべての対策ができずに原子炉への注水が中断したまま38時間過ぎると、核燃料が再び溶け出し、多量の放射性物質が放出されるという最悪のシナリオを明らかにした。
注水が止まる原因として考えられるのは、炉内に注水しているポンプの故障、ポンプへの電源の喪失、タンクなど水源の喪失、注水ラインの損傷などだ。東電は原因が一つなら30分以内に復旧できるとみており、「複数のトラブルが起きても3時間程度で注水が復旧できる見込みだ」としている。
1〜3号機の炉内の水温は、いずれも冷温停止の条件になる100度未満まで下がっているが、注水が止まれば、1時間で48〜51度上がるという。仮に注水が復旧しないと、18〜19時間で爆発の引き金になる水素が発生する1200度に到達する。さらに38〜50時間後に燃料の再溶融が始まり、圧力容器の底にたまった燃料がさらに外側の格納容器に漏れ出すという。
ただ、ポンプには予備もあり、注水する経路はいくつもあるので注水が長時間中断することは考えにくいという。東電は「今後、注水システムの信頼性の向上に努めたい」と話している。(杉本崇)