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【レポート】

孫社長がソフトバンクの電波改善状況を報告

2011/09/30

小山安博

    ソフトバンクモバイルは29日、2011年冬春モデルの発表会で、携帯電話の電波の改善状況について説明した。同社孫正義社長は、「Wi-Fi」「基地局」「フェムトセル」を組み合わせ、つながりやすさを追求していく考えだ。

    孫正義社長

    3つの取り組みでつながりやすさの改善を図っていく

    いち早く10万スポットを達成した無線LAN

    スマートフォンの普及で通信量が急増し、増大するトラフィックに携帯各社は苦しんでいる。各社が取り組んでいるのが、喫茶店やホテルなどのスポットに公衆無線LANスポットを設置し、携帯通信ではなく無線LANにトラフィックを逃がすというオフロードだ。

    ソフトバンクは公衆無線LANスポットの設置では先行している。発表会で孫社長は、スポット数が10万スポットを突破したことを明らかにした。KDDIはau Wi-Fi SPOTで、今年度中の10万スポットを目指しているが、それに先んじた形だ。孫社長は他社と比べ「圧倒的な差」と胸を張る。

    現在のスポット数では圧倒的だと孫社長

    さらにソフトバンクでは家庭向けに無線LANルータを無償配布してオフロードを狙っており、10万スポットとあわせると「世界でもほとんど例を見ないレベルのネットワークが構築できたのでは」と強調する。

    例えば東京の銀座駅周辺で1,527、渋谷駅周辺では2,333スポット、新宿駅周辺では2,312スポットなど、「Wi-Fiスポットが町中に広がっている」としている。孫社長は、無線LANが重要になると認識し、他社に先駆けてスポットの設置場所を確保し、そのノウハウを積み重ねてきたことが有利に働いていると話す。

    「ソフトバンクだけがつながるWi-Fiスポット」が多数あると孫社長

    さらに、スポット数が多くなることで、無線LANスポットのエリアの端で途切れることが少なくなると主張。スポット間の移動をスムーズにする、WEPとWPAのように、セキュリティレベルの異なる無線LANスポットが同じ場所にあっても、セキュリティの弱い方につながらないように「技術的に改善できている」と孫社長は説明する。また、電波が弱く、つながりにくいような無線LANスポットがあったとしても、改善をしていくように調査もしている、としており、「Wi-Fiの先駆者としての経験値を生かして改善を続けていきたい」とコメントしている。

    ソフトバンクでは、すでに東京の都営地下鉄全駅をスポット化しており、東京メトロでも10月半ばには全駅で利用可能になるという。IDとパスワードを入力せずに接続でき、「駅のホームで全自動でつながるのはソフトバンクだけ」と孫社長は強調する。東京の地下鉄駅間については、携帯4社が共同で携帯通信を可能にしていく計画で、「来年度には駅間の通信も一気につながるようになる」という。

    16万基地局を突破し、さらに快適を目指す

    携帯電話の基地局に関しては、同社がボーダフォンから携帯事業買収時に「18,000局しかなかった」ところを、5年間で6万局まで増加させたと説明。それでもつながりにくいという声が大きくなったため、孫社長は「1年間で倍増の12万局にする」と宣言。今年の3月には12万2,000カ所で基地局を設立し、その後も順調に数を伸ばし、9月時点では16万局まで増やしたそうだ。

    順調に拡大している基地局数。ドコモやKDDIよりも基地局数は多いとアピールする

    これには家庭用のフェムトセルや公衆無線LANスポットは含まれておらず、基地局だけで16万局に達したと孫社長は強調する。だが、「まだ満足していない」としており、前述の通り、今年と来年の2年間で1兆円の設備投資を行い、さらに基地局を増やしていく意向だ。

    特に孫社長は、昨年の時点で同社ユーザーの自宅圏外率が2%であることを紹介。1%程度であるNTTドコモやKDDIの間に「大変な差」があったと振り返り、現時点で同等の1%まで減少させることができたと話す。

    このほか、孫社長はいつものように、現在割り当てに向けて作業が進められている新しい700/900MHz帯の「ゴールデン周波数帯」について、「割り当ては順番として当然」と主張。ドコモとKDDIは800MHz帯の周波数帯を割り当てられており、「他社に肉薄するだけのユーザー数があり、ネットワークを有効活用している」ソフトバンクが、新たに割り当てられるべきと訴えた。

    新規参入のイー・アクセスは、当初の周波数割り当て時に予定したユーザー数に達していないことから、ソフトバンクに割り当てられるべきとしている。東日本大震災でも明らかになったように、災害時には通話が集中してつながりにくくなるが、「ライフラインとしてきっちり担保する」ためにも新たな周波数帯が必要とした。孫社長は、900MHz帯が割り当てられた場合、「建物や山の中といった、電波の届きにくいところに浸透させるのに有効」であり、そうした活用をするとコメント。「周波数が得られていないのは言い訳にはならないので、さらに基地局を増やしていくが、周波数の(ソフトバンクに対する)許認可は必須」と孫社長はアピールする。「"電波はつながって当たり前"を意地でも頑張っていくが、さらに快適になるようにする」と孫社長は話している。

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