|
北陸の経済ニュース 【10月1日03時05分更新】
台湾「突出」、欧米中韓は沈んだまま 北陸の外国人観光客
北陸を訪れる外国人観光客で台湾が突出している。東日本大震災や福島原発事故の影響
で欧米や中国、韓国などが沈んだままなのに対し、いち早く回復した台湾は兼六園で7割
、立山黒部アルペンルートでは9割を占める。台湾以外の外国人の入り込みは「年内の回
復は難しい」(関係者)との見方があり、観光業界にとっては当面、台湾客をいかに取り
込むかが重要になる。「兼六園を訪れる台湾人は8月も前年比1割以上増えている。しかし、欧米からの回復 はまだまだ遠い」。石川県の谷本正憲知事は26日開かれた県信用保証協会の理事会で、 兼六園の外国人観光客についてこう述べた。 3月の東日本大震災で兼六園を訪れた外国人は激減したが、台湾は6月に前年比55% 増の約6900人とプラスに転換。8月まで3カ月連続で前年を上回っている。今年1〜 8月の累計では、台湾は約3万3千人で、全体の7割を超えており、断トツのトップ。も ともと、兼六園では台湾客が多いが、それでも外国人に占める割合は例年5〜6割程度で 、今年は際立っている。 一方、昨年、台湾に次いで多かった香港や3位の韓国、欧米は軒並み、前年割れの状態 から抜け出せずにいる。香港は今年、約2300人と前年同期の3割にとどまり、1〜8 月で前年を超えた月はない。台湾と同じく、小松との定期便航路がある韓国、中国も3月 以降の落ち込みが激しく、米国や欧州各国も低迷したままだ。 立山黒部アルペンルートも台湾客が目立っている。立山黒部貫光(富山市)によると、 台湾客は6月から前年同期を上回り、「7月は、海外客のほぼ全員が台湾だった」(担当 者)という。 一方、台湾を除く入り込みはいずれも前年比1割程度と低調に推移。例年多い韓国は回 復の兆しがみられず、担当者は「韓国では原発事故に過剰に反応し、日本全体が危険だと 思っている人が多いようだ。最近のウォン安も足を引っ張っている」と話す。 黒部峡谷鉄道(黒部市)では例年、外国人で最も多い韓国が、今年は8月末まで前年比 わずか4%。台湾が6月以降、前年を超え続け、韓国を上回っている。担当者は「来年以 降も台湾が首位になるかもしれない」と語った。 台湾の増加とそれ以外の落ち込みは北陸のホテルや旅館にも影響を与えている。 加賀屋(七尾市)では台湾客が7月以降、毎月1千人程度に回復し、さらに今後増加す る見込みだという。ANAクラウンプラザホテル富山(富山市)も海外利用客で主力の台 湾が回復基調にある。 一方、ANAクラウンプラザホテル金沢(金沢市)は震災後、欧米客が急激に減少。こ こにきて欧米のツアー客が利用するケースも出てきたが、数が少なく、担当者は「回復に はほど遠い状態」と腕組みする。宇奈月ニューオータニホテル(黒部市)では韓国が前年 比9割減で、宇奈月温泉では5月の韓国人宿泊客が前年の975人からゼロになった。 台湾誘客については、5月に金沢経済同友会が総勢73人の訪問団を派遣し、7月には 谷本知事がトップセールスを展開。ホテル関係者は「親日家が多く、日本の観光プロモー ションに反応する人が多いのではないか」と指摘する。10月以降は能登、富山両空港と 台北を結ぶチャーター便が運航する予定で、今後も台湾の増加基調は続きそうだ。
北陸の経済ニュース |