2011年8月3日 19時32分 更新:8月3日 22時43分
過去に未払いだった国民年金保険料をさかのぼって納付できる期間(追納期間)について、現行の2年から10年に延長することを柱とする国民年金法改正案が3日、衆院厚生労働委員会で民主、自民、公明などの賛成多数で可決した。4日の衆院本会議で可決・成立する見通しだ。未納期間が長く、無年金や低年金となりそうな人を救済する狙いがある。12年10月までに施行するが、3年間の時限措置となっている。
国民年金保険料(11年度、月1万5020円)の納付率は、10年度に59.3%と過去最悪を更新するなど低下が続く。将来無年金や低年金となる人の増加が懸念されている。
国民年金は40年間一度も欠かさず保険料を払い続けると満額(11年度、月額6万5742円)を受給できるものの、未納期間がある人も多く、他の年金への加入歴がない人の平均受給月額は約4万8500円にとどまる。受給に必要な25年の納付期間に足りず、無年金となる人も多い。政府は無年金・低年金対策を当面の最重要課題と位置づけており、昨年の通常国会に10年間の追納を恒久的に認める法案を提出した。
これに対し、自民党は反対に回った。長期の追納を認めると「後から支払えばいい」と考える人が増え、納付意欲を低下させる可能性があるというわけだ。現行法も同様の理由で2年分の追納しか認めていない。そこで与野党で修正協議に入り、10年への延長を3年間の時限措置とすることで折り合った。
厚労省によると、追納期間を10年に延長した場合、最大40万人が無年金にならずに済み、1710万人の年金額が増えるという。1年分を追納すれば保険料約18万円の負担を要するが、年金は年に2万円程度増える。
政府は6月末にまとめた税と社会保障の一体改革案で、低所得の人の年金に月約1万6000円を加算することや、年金受給に必要な加入期間を今の25年から10年に短縮することなどを打ち出した。月内に具体化に向けた議論を始める方針だ。【山田夢留】