金星探査機「あかつき」は、メインエンジンの損傷が大きく、想定より小さな力しか出ないことが分かり、当初、予定していた科学観測を行う軌道に投入することは不可能になりました。宇宙航空研究開発機構は、別の小型エンジンを使って、再び金星への軌道投入を目指す考えですが、軌道投入に成功しても実施できる観測は限られる見通しです。
去年12月、金星への軌道投入に失敗した「あかつき」について、宇宙航空研究開発機構は、壊れたメインエンジンを使って4年後の2015年に「あかつき」を金星に接近させ、再び軌道投入を目指す計画でした。ところが、メインエンジンの噴射テストを2回行った結果、想定よりも9分の1の小さな力しか出ないことが分かりました。このため宇宙航空研究開発機構は、メインエンジンの使用を断念し、姿勢制御用の小型のエンジンを使って軌道投入を目指すことを決めました。小型のエンジンで軌道投入する場合、当初、予定していた科学観測を行う軌道より数倍大きな軌道にしか投入できず、実施できる観測は限られる見通しです。宇宙航空研究開発機構は「金星の大気を詳しく調べる当初の目的をできるかぎり実現できるよう可能性を追求したい」と話しています。