マルチ商法業界との深い関係を、臨時国会で追及された山岡賢次消費者担当相兼国家公安委員長(68)。先月26日には、親分である小沢一郎元代表(69)の元秘書3人が政治資金規正法違反で有罪判決を受け、意気消沈していると思いきや、「むしろ、チャンスと思っているのでは」(民主党関係者)との声がある。一体、どういうことか。
「離党したとはいえ、同じ親分を支える仲間に『選挙区を譲れ』とは。あんまりじゃないか」
民主党関係者は、山岡氏に対してこう憤る。「仲間」とは、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、有罪判決を受けた石川知裕衆議院議員(38)のことだ。
関係者によると、山岡氏は判決前から石川氏に対し、小沢グループの議員を介して、「有罪になった際には、選挙区の北海道11区を息子の山岡達丸(衆議院議員、32)に譲ってくれ」と繰り返し要求していたという。
達丸氏は慶大卒業後、NHK記者を経て、一昨年の衆院選で比例単独(北海道ブロック)で出馬し、初当選した。当選後は、次期衆院選で立候補できる選挙区を探し続けてきた。
そこに、普段から「達丸は俺よりも優秀だ」と周囲に吹聴している山岡氏が参戦した。民主党の内規により、自らの選挙区(栃木4区)を世襲させることはできないため、達丸氏がNHK記者時代に勤務していた帯広市のある北海道11区に狙いを付けたのだ。
そして、石川氏に有罪判決が下った。民主党関係者は「山岡親子にとってはチャンス到来だ。山岡氏とすれば、達丸氏の公認をもらうためなら、野田執行部に対して絶対的な忠誠を誓うだろう」と話した。
一連の動きは小沢グループ内では有名な話で、若手議員は「山岡氏は、石川氏と会ったときには、『無罪を勝ち取るまで頑張って』などと激励している。その裏でこの要求。『とんだ二枚舌だ』とみんなあきれている」とため息をついた。
北海道11区は、かつて「中川王国」とも呼ばれたほど故中川昭一元財務相が強い地盤を誇っていた。石川氏はそこで落選を重ねながらも地盤を築いていっただけに、民主党内では「山岡親子はひどすぎる」という声が広がっている。