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'11/10/1

老舗中国料理店が惜別の閉店




 広島市中区新天地で56年続いた中国料理店「福万」が30日夜、のれんを下ろした。高度経済成長期から現在まで、中四国一の歓楽街で会社帰りのサラリーマンたちに親しまれてきた。店長の松田丈夫さん(70)は「不景気でお客さんが減った。もう年じゃし、寂しいけど潮時よ」。常連客に惜しまれる中の決断だった。

 この日、店には閉店を聞きつけた常連客が次々と訪れた。約40年通ったという中区の大利奈美枝さん(62)は「我が家のような場所。なくなるとは残念」。子どもの頃から一緒に来店し、今は東京で働く長女に送ろうと、持ち帰り用のギョーザを注文した。

 福万は1955年、松田さんの義兄の里村福彦さん(88)が近くで屋台として開店。2年後に現在地に店を構え、松田さんが店長になった。台湾風ラーメンと皮をパリパリに焼いたギョーザで親しまれた。

 バブル期には多い日で100人以上が来店。しかし近くに安い飲食店が増えたことや、景気低迷も影響して最近は半減したという。

 松田さんは「味を全く変えなかったから、時代が変わっても長く続いた」。常連客にビールを注いでもらい、半世紀を懐かしんだ。

【写真説明】のれんを下ろした「福万」

【写真説明】「今までありがとう」。常連客からビールをついでもらう松田さん(右端)




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