沖縄県が発注したトンネル工事をめぐり、県が大手ゼネコンなどの共同企業体(JV)と架空の随意契約を結んでうその契約書を作り、2億円以上の国の補助金を余分に受けていたことが会計検査院の検査でわかった。検査院は不適正な経理と指摘する方針だ。
このトンネル工事は事業費の9割を国の補助金で賄えることになっていた。沖縄振興を目的にした高い補助率が悪用された可能性もあり、内閣府沖縄総合事務局も調査を始めた。検査院の指摘の事実関係と補助金等適正化法違反が確認されれば、県に補助金の返還を求めるとみられる。
このトンネルは2010年に那覇市に開通した「識名(しきな)トンネル」(全長559メートル)。市中心部の渋滞緩和が期待されていた。
県によると、工事は県土木建築部が06年に発注し、大成建設(東京)と地元業者2社でつくるJVが23億3千万円で受注した。海外企業も参加できる国際入札だったため競争が激しく、予定価格に対する落札額の比率は47%で、大型工事としては異例の低落札率だったという。
このうち、検査院が問題視しているのは、掘削で地表面が崩れないようにパイプを押し込んで薬剤を注入し、地盤を固定する工事。追加で施工が必要となったが、県は本体工事の一環として扱い、材料の数量を増やす形でJV側に工事費を支払う方針だった。
しかし、その場合は47%の落札率となった積算をもとに材料の数量変更を計算するので、工事費が低額になる。工事はそのまま続けられ問題なく完了したが、支払い方法にJV側が納得せず、折り合いがつかなかったという。
そこで県は、今回の地盤の固定工事を新規に発注したように装い、固定工事が終わった後の09年1月になって、同じJVと落札率99%の約4億9千万円で随意契約したことにするうその契約書を作成。工期も実際とは異なる09年1月からと記載した。
この架空契約で、県は国からさらに約4億4千万円の補助金を受給できることになり、工事費としてJV側に支払われた。本体工事と一体で計算した場合と比べ、国の補助金は2億円以上膨らんだという。
検査院は今年1月に工事の検査を開始。問題の地盤固定工事の工期が2カ月と異例の短さになっていたため、事情を聴いていた。
検査院によると、公共事業の支払いで争いが起きた場合は、紛争を審査する委員会の判断を仰ぐことができるが、県側は「早く工事を進めたかった」と説明したという。
契約は出先機関の県南部土木事務所(那覇市)が担当していた。検査院によると、自治体による架空の契約を使った補助金の申請は極めて異例という。(村上潤治、田内康介)
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■沖縄県土木建築部の話 検査院が検査を進めており、現段階では取材に応じられない。
■大成建設の話 (地盤固定の)工事はトンネル新設工事では予定されていなかった。当社JVは別件工事との認識でいる。