環境省は29日、東京電力福島第1原発事故による放射性物質の除染や汚染がれきの処理で、少なくとも1兆数千億円の経費がかかるとの見通しを示し、2012年度概算要求に関係費用4536億円を盛り込むことを明らかにした。除染後に発生する汚染土壌や汚染廃棄物の中間貯蔵施設整備費、高濃度汚染地域の対策費用は含まれず、今後さらに数兆円かかる可能性があるという。
除染と汚染廃棄物処理に関する予算は、他省分を含めて環境省が一括して要求する。来年度分の予算として、除染に3744億円、汚染廃棄物処理に772億円、中間貯蔵施設の調査・検討に20億円を要求する。
具体的な事業としては、国が直轄で行う除染や汚染土壌の管理、除染実施後の定期的な線量モニタリングに加え、自治体が行う除染活動を支援。また、中間貯蔵施設については、現地での地形・地質、環境影響に関する調査や汚染廃棄物の容量を減らす技術・手法の検討などを行う。
除染や廃棄物処理の予算は、来年度要求分以外に、11年度第3次補正予算で2459億円を計上する予定で、さらに12年度中に契約する国庫債務負担行為の13年度負担分として2308億円を確保する。また、政府は11年度第2次補正予算の予備費2200億円を活用することを決めている。【藤野基文】
毎日新聞 2011年9月29日 22時04分(最終更新 9月30日 1時13分)