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2011年9月30日14時15分

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リングのアイドル革命 「かけめぐる青春」

ビューティ・ペア 川崎市

写真:川崎市体育館で戦う元全女の井上京子さん(左)。「私はプロレスをあきらめません」と激闘を続ける拡大川崎市体育館で戦う元全女の井上京子さん(左)。「私はプロレスをあきらめません」と激闘を続ける

 8月下旬、東京都江東区の湾岸にあるイベントホールは満員札止めとなっていました。中央のリングを取り巻く約350人の観客の8割方は無口な男たちです。リングから降りた2人のレスラーが、もつれ合いながら観客席に突っこみました。金髪のダンプ松本さん(50)の巨体が、よろめきもせず立ち上がりました。

 1980年代に「極悪同盟」をひきいたダンプさんは88年、女子プロレスの聖地とされる川崎市体育館(神奈川県)で引退試合をした後、タレントに転身しました。でも8年前、女子プロレス界の衰退を憂えて復帰、最悪のヒール(悪役)の伝説をよみがえらせているのでした。

 その2日後、私はダンプさんと都内で会いました。70年代に女子中高生を熱狂させた、ジャッキー佐藤さん(99年に41歳で没)とマキ上田さん(52)のタッグチーム「ビューティ・ペア」への思いのたけを聞くためです。ダンプさんは、純情な乙女の語り口で、ジャッキーさんの熱烈な追っかけだった高校時代を懐かしみました。「テレビでひと目、見た瞬間にビビッと来て、目がくらむほどかっこよかった。あこがれのジャッキーさんのおそばにいたい一心で、自分もプロレスラーになろうと決心したんです」

 ビューティ・ペアが所属した全日本女子プロレス(2005年に解散、略称「全女」)の試合はブーム最高潮の77〜79年、フジテレビが金曜のゴールデンタイムに放送していました。それはビューティ・ペアの歌ありきという前代未聞の番組でした。リングをステージに、アイドル歌手さながらの衣装と振りつけで「かけめぐる青春」を歌います。すると無数の紙テープが乱舞し、女子の狂おしい絶叫がとめどなく飛び交うのでした。

 埼玉県熊谷市に実家があるダンプさんは79年春に高校を卒業後、パン屋の住みこみ店員になるはずでした。ところが、就職の初日、親に無断で全女の選手募集のオーディションを受けたのです。このとき約3千人もの応募者が殺到したといいます。ジャッキーさんが翌年、引退を決めたとき、稽古場で後輩に一人ずつ技をかける惜別の儀式がありました。ダンプさんはロープ最上段から痛烈なダイビングキックを浴びせられ、なぜか、「これからもよろしく」と意味ありげな言葉を残されました。一体、なにを託されたのか。その答えにたどりつくため、いまも竹刀を振り回してリングで体を張っているのです。

 

 (続きは10月1日付け朝刊の別刷り「be」をお読みください。)

 

聴く

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 ビューティ・ペアの「かけめぐる青春」はCD「ビューティ・ペア メモリアル・コレクション」に入っているが、残念ながら廃盤なので、中古CDを探すしかない。

見る

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 新鋭の団体、ワールド女子プロレス・ディアナは、今年4月に元全女の井上京子さんが旗揚げした。4日午後5時半、伊勢崎市境体育館(群馬県)、9、10日午後6時、大阪ミナミ・ムーブ・オン・アリーナ(大阪市)で試合がある。問い合わせとチケット購入は公式ホームページ(http://www−diana.com)へ。ダンプ松本さんは16日15時、伊勢崎市境体育館で開かれるWWSプロレスの大会に出場する。問い合わせとチケット予約はWWSプロレス事務所(090・2493・5440)へ。

読む

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 柳澤健著『1985年のクラッシュ・ギャルズ』(文芸春秋)は、80年代に女子中高生を熱狂させた長与千種とライオネス飛鳥のタッグチーム「クラッシュ・ギャルズ」の、誕生から解散後までを綿密な取材と独自の感性で描いたノンフィクション。同じ著者の『1993年の女子プロレス』(双葉社)も併せ読むと、女子プロレスの世界の実像が見えてくる。

今回取り上げている商品

本「1985年のクラッシュ・ギャルズ」

本「1985年のクラッシュ・ギャルズ」

80年代、日本中を興奮させた長与千種とライオネス飛鳥。そして、彼女ら「クラッシュ・ギャルズ」に熱狂した十代の少女たち。その軌跡や当時の舞台裏などを、綿密な取材をもとに描き出したノンフィクション。

本「1993年の女子プロレス」

本「1993年の女子プロレス」

クラッシュギャルズ引退後、冬の時代を経て、空前の盛り上がりを見せていた1993年の女子プロレス界。その熱狂の真実を、当事者たちが語る。

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