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きょうのコラム「時鐘」 2011年10月1日
最近の中国では、対政府への不満や不信のガスが充満しそうになると、いち早くガス抜き役をするのが温家宝首相である
人民解放軍が災害救助の出動に手間取ると非難する。人権抑圧が目立つと人権擁護論をぶつ。列車事故で不安が高まると現地に飛んで直接指揮する。日本の震災地にまで来ている。歴代の中国要人の中では飛び切り人が良さそうにみえる それが軍の怒りを買い、党から疎外されることになると外電は伝え、本紙・北風抄でも同様の分析があった。軍の指揮権を持たない首相が党改革や民主化を訴えるのだから軍と党から圧力がかかる。かつて天安門事件に理解を示して失脚した幹部の二の舞になるとの見方だ 中国はきょう62年目の国慶節を迎える。新指導部への政権移譲もスムーズで過熱気味の経済も破綻せずにきた。温首相が登場するタイミングは的確で結果も上々、中国はブレーキとアクセルを使い分けできるように成長したとみることはできないのだろうか 過去の物差しでは判断出来ない相当したたかな、新タイプの政治家が巨大化する中国に生まれてきているようにも見える。 |