危険!イヤホンからの音楽で周りの音が聞こえない!
平成20年3月17日
生活文化スポーツ局
東京都は、イヤホンの使用が聴覚に及ぼす影響についての調査を行いました。その結果、屋外で歩行中などにイヤホンを使用すると自転車のベルなどが聞こえず事故に遭う危険性が高いこと、普段音量に注意を払っている人でも周囲の騒音が大きい場合には意図しない大きな音量で聞いてしまう危険性があること、などが明らかとなりました。
よって、危害・危険の未然防止を図るため、業界団体への要望等を行いましたのでお知らせします。また、今後、消費者への注意喚起を行います。
1 調査結果
(1)屋外でのイヤホン使用による事故の危険性
屋外でのイヤホン使用者(662人)の8.0%(53人)が、屋外での使用中、「自動車や自転車と接触しそうになった」などの危険な状況に遭遇したことがあった。中には「救急車に気付かなかった」という回答者もいた。
屋外でイヤホン使用中に遭遇した危険な状況
(2)イヤホン使用による聴覚感度の低下
イヤホンを使って70デシベル程度で音楽を聴取するとき、周囲の音に対する聴覚感度は30デシベル以上低下した。特に挿入型など遮音性の高いイヤホンでは最大65デシベル低下した。自転車のベル音に気付きにくいと考えられ、さらに大きな音量で聴取している場合には自動車のクラクションも聞こえるとは限らない。
自転車のベル音のパワースペクトル例と挿入型イヤホン駆動条件の閾値との比較※1)
(3)快適と感じる聴取音量の上昇
静かな環境では、被験者の3分の1近くが60デシベル未満の聴取レベルを快適と感じたのに対し、73.2デシベルの騒音下では、80デシベル以上を快適と感じた被験者が34%に上った。
騒音の有無による快適聴取レベルの変化(全イヤホン合計)
2 消費者への注意喚起
(1)屋外でのイヤホン使用はなるべく止めましょう。
周囲の音が聞こえないと、後方や死角から近づいてくる自動車や自転車などに気付くことができません。イヤホンを使っていると周りの音が聞こえにくくなるだけでなく、音楽に気を取られて周囲への注意力も散漫になり、事故に遭う危険性が高くなります。屋外ではなるべくイヤホンを使用しないようにしましょう。特に自転車に乗りながら使用することは絶対に止めましょう。
また、周囲の人は、イヤホン使用者にベルやクラクションの音が聞こえているものと思い込むのは危険です。事故などを防ぐため、周囲の人も十分に注意しましょう。
(2)イヤホンを使うときには、音量に常に気をつけましょう。
周りの音が大きいと、どうしてもボリュームを大きくしてしまいがちです。そのため、気が付くと思った以上の音量で聴いてしまっている場合があります。イヤホンを使うときには常に音量に気を配るようにしましょう。
3 都の対応
調査結果に基づき、製造事業者団体及び国、関係機関等に対し、次のとおり要望及び提案並びに情報提供を行いました。
(1)製造事業者団体への要望((社)電子情報技術産業協会(JEITA))
ア イヤホンの使用に伴って生じる危険性について、消費者に周知すること
イ 取扱説明書等の警告表示・注意表示について、消費者が具体的に危険性を認識できるような内容とするとともに、各社間での統一を図ること
ウ イヤホン、ポータブルオーディオ機器を安全に使用できるよう、機器の改良を進めること
(2)経済産業省への提案
ア イヤホンの使用に伴う危険性について消費者への啓発活動を推進すること
イ ポータブルオーディオの出力音量規制等について検討すること
(3)(財)全日本交通安全協会、(財)東京交通安全協会への提案
ア 自転車乗車中、歩行中にイヤホンを使用することによる事故等の危険性について、広く社会に周知すること
イ 交通安全教室等において、イヤホン使用の危険性について指導・啓発を行うこと
(4)警察庁、警視庁、東京都関係各局への情報提供
【注】
※1)5メートル離れた位置で測定した自転車のベル音の周波数ごとの音の大きさと、挿入型のイヤホンで音楽を聴いているときの閾値※2)を比較したもの。閾値を上回る成分が少なく、非常に音は聞き取りづらいと考えられる。
※2)聴覚閾値。ある音を認識するために必要な音圧の下限値。これより小さな音は聞こえず、これ以上の音は聞こえる。
〔参考〕
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出典:環境規制法の解説(環境庁大気保全局編) |
※イヤホンを使用するとどのくらい周囲の音が聞こえにくくなるか、サンプル音を「くらしの安全情報サイト」に掲載しております。
※別紙 イヤホンの使用が聴覚に及ぼす影響についての調査結果【概要】
問い合わせ先 生活文化スポーツ局消費生活部生活安全課 電話 03−5388−3056 |