佐賀県の玄海原子力発電所の運転再開を巡るメール問題を調査してきた九州電力の第三者委員会は、30日、最終報告書をまとめました。報告書では、問題の背景にあったのは、九州電力と、佐賀県の古川知事などとの「不透明な関係」だとして、九州電力にこうした関係を絶つよう求めました。
この問題は、玄海原発の運転再開を巡り、ことし6月に開かれた説明会で、九州電力が子会社などに対し、市民の立場で運転再開を容認するメールを送るよう指示していたものです。この問題を調査してきた弁護士などからなる九州電力の第三者委員会は、30日、最終報告書をまとめました。報告書では、佐賀県の古川知事が説明会の前に、九州電力の幹部と会った際、再開を容認する意見の必要性を伝えたことに触れ、「発言を聞いた幹部は、知事が求める賛成意見の投稿が運転再開につながるという期待から対応した」としたうえで、知事の発言について「決定的な影響を与えた」と指摘しました。また、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを燃料として再利用するプルサーマルの導入を巡って、平成17年に佐賀県が主催した討論会でも、九州電力が社員らを動員して推進の立場から質問させていたことを挙げたうえで、「佐賀県サイドの意向で行われたと思われる」と指摘しました。そのうえで、こうした問題の背景にあったのは九州電力と、古川知事や佐賀県との「不透明な関係」だとして、九州電力に対し、原発が立地する自治体のトップとの間で誤解を与えるような話し合いを行わないことや、政治資金を寄附しないことなど不透明な関係を絶つよう求めました。さらに第三者委員会は問題の責任について、「経営トップにある」として眞部利應社長の責任を指摘し、今後、原子力部門を監視する組織を設置するなどして透明性を高めるよう求めました。30日の最終報告書を受けて、九州電力は、事実関係や再発防止策について、会社としての報告書をまとめ、来月、国に提出することにしています。