第78回 大賀 典雄 氏
2.ヘルベルト・フォン・カラヤンとの深い関係
−−大賀さんはカラヤンさんととても深い関係でいらっしゃったそうですが。
大賀:この部屋に飾ってあるのは全て(3作品)カラヤンの奥さんが画いた絵なんですよ。カラヤンが亡くなったとき私は横にいてすぐ目の前に彼の頭があったんです。
−−正に臨終のときに傍にいらっしゃったんですね。
大賀:それはもう驚きました。そのときにマイケル・シュルホフも連れて行っていまして、彼がその様子を見て「大変だ!ハート・アタックだ!」って言ったんです。うちの家内もいたのですが、彼女はベッドの上で座っていたカラヤンが何か落としてそれを拾うんだと思ったらしいんですね。カラヤンの奥さんはシャワー室に入っていたので「大変だ!大変だ!」ってドンドンドンドンドアを叩いて。そしたら彼女はガウンを羽織って慌てて出てきて「ヘルベルト!ヘルベルト!」と呼んだんですが応えず・・・。これまでいろいろな経験をしましたが、あれほど驚いたことはありません。人の命とはなんと儚いものかと…。
−−そうだったんですか…。

大賀:その後近所の墓地に埋葬したんですけど、いまや日本人の女の子がたくさんきてお墓の土を取っていっちゃうんで教会の方が困っているとききました。(笑)。
−−今もですか? ファンの方が?
大賀:いえ、修学旅行気分でしょうか。甲子園の土と同じ感覚なんですよね。そのたびに土を補充して元に戻しているそうですけど犯人は全部日本の女の子だって言うから(笑)。
−−困ったものですね。でも、それはカラヤンさんがかっこいいということもあるんですよね。
大賀:カラヤンという人は本当に魅力的な人だったし、あらためてCDを聴いてみても、指揮者として素晴らしいなと思いますね。実は私はカラヤンの前で1回も指揮をしたことないんですよ。
−−カラヤンさんはどういう方だったんですか?
大賀:カラヤンの家は大きいし、食堂だって広いのに食卓は小さくて部屋の隅にあるんです。要するに彼はたくさんの人とわいわいするのが好きではないんですよ。むかし東京文化会館で音楽会をやったときも外にいっぱいファンが待っている、それをカラヤンはステージの一番後ろにある小さな緊急用のドアから逃げ出して帰ってしまうんです。また、日本に滞在するときはいつもホテルオークラの最上階のスイートに泊まっていたのですが、そこにあるテーブルに座れる人数しか呼ばない、それ以上の人は一切入らないようにと言っていたんです。
−−大賀さんはカラヤンさんと家族のようなお付き合いをされていたんですね。
大賀:カラヤンはいつも私に手紙を送るときに「Dear my co-pilot Norio(親愛なる副操縦士 典雄へ)」と書いてくるんですよ。私も「Dear my captain」と書いていたのですが。彼もジェット機を操縦するんです。カラヤンの所に着くと「今日は何を操縦してきた?」とまず初めに質問するんですよ。「今日は東京からハンブグルまでエアラインで来てハンブルグにファルコン(ソニーの社有機)を待たせておいてそれで来た」と答えると、彼もファルコンの双発を持っていたんですが、我々のは三発だったので「三発はどうだ? いよいよ自分も買おうと思ってる」と言って目を輝かせていました。
大賀:この部屋に飾ってあるのは全て(3作品)カラヤンの奥さんが画いた絵なんですよ。カラヤンが亡くなったとき私は横にいてすぐ目の前に彼の頭があったんです。
−−正に臨終のときに傍にいらっしゃったんですね。
大賀:それはもう驚きました。そのときにマイケル・シュルホフも連れて行っていまして、彼がその様子を見て「大変だ!ハート・アタックだ!」って言ったんです。うちの家内もいたのですが、彼女はベッドの上で座っていたカラヤンが何か落としてそれを拾うんだと思ったらしいんですね。カラヤンの奥さんはシャワー室に入っていたので「大変だ!大変だ!」ってドンドンドンドンドアを叩いて。そしたら彼女はガウンを羽織って慌てて出てきて「ヘルベルト!ヘルベルト!」と呼んだんですが応えず・・・。これまでいろいろな経験をしましたが、あれほど驚いたことはありません。人の命とはなんと儚いものかと…。
−−そうだったんですか…。
大賀:その後近所の墓地に埋葬したんですけど、いまや日本人の女の子がたくさんきてお墓の土を取っていっちゃうんで教会の方が困っているとききました。(笑)。
−−今もですか? ファンの方が?
大賀:いえ、修学旅行気分でしょうか。甲子園の土と同じ感覚なんですよね。そのたびに土を補充して元に戻しているそうですけど犯人は全部日本の女の子だって言うから(笑)。
−−困ったものですね。でも、それはカラヤンさんがかっこいいということもあるんですよね。
大賀:カラヤンという人は本当に魅力的な人だったし、あらためてCDを聴いてみても、指揮者として素晴らしいなと思いますね。実は私はカラヤンの前で1回も指揮をしたことないんですよ。
−−カラヤンさんはどういう方だったんですか?
大賀:カラヤンの家は大きいし、食堂だって広いのに食卓は小さくて部屋の隅にあるんです。要するに彼はたくさんの人とわいわいするのが好きではないんですよ。むかし東京文化会館で音楽会をやったときも外にいっぱいファンが待っている、それをカラヤンはステージの一番後ろにある小さな緊急用のドアから逃げ出して帰ってしまうんです。また、日本に滞在するときはいつもホテルオークラの最上階のスイートに泊まっていたのですが、そこにあるテーブルに座れる人数しか呼ばない、それ以上の人は一切入らないようにと言っていたんです。
−−大賀さんはカラヤンさんと家族のようなお付き合いをされていたんですね。
大賀:カラヤンはいつも私に手紙を送るときに「Dear my co-pilot Norio(親愛なる副操縦士 典雄へ)」と書いてくるんですよ。私も「Dear my captain」と書いていたのですが。彼もジェット機を操縦するんです。カラヤンの所に着くと「今日は何を操縦してきた?」とまず初めに質問するんですよ。「今日は東京からハンブグルまでエアラインで来てハンブルグにファルコン(ソニーの社有機)を待たせておいてそれで来た」と答えると、彼もファルコンの双発を持っていたんですが、我々のは三発だったので「三発はどうだ? いよいよ自分も買おうと思ってる」と言って目を輝かせていました。