駐日大使館が怪文書工作指示
総連瓦解工作 黒幕はソウル
昨年12月から総連各機関と団体、一部の同胞に宛てた出処不明の怪文書が、南朝鮮当局の意向を反映して作成された謀略文書だった事実が明らかになった。本紙読者の情報提供を受けて取材を行った結果、「朝鮮総連の改革と祖国統一・志向会」と名乗りながらも、実態が不明の幽霊団体名義による怪文書の配布は、ソウルからの指示を受けた駐日南朝鮮大使館チョン某1等書記官と結託した者たちの仕業であることが確認された。
「心当たりの人物」
怪文書工作を指示する駐日南朝鮮大使館の1等書
記官(右) |
最初の怪文書は、「総連組織の改革民主化の実現」を目指すとしながら、「私たち有志一同は、数カ月間、討議と論議を重ねてきた」と書かれている。しかし、「改革」の「真正性」を訴える文書から読み取れるのは、対決を企図する輩の不純な本音だ。
怪文書「第2報」は、エジプトで起きた動乱に言及しながら、そのニュースが「われわれを興奮させる」「胸が躍る」と吐露した。中東の動乱のニュースを朝鮮と強引に結びつけて、「興奮を禁じえない」という「有志一同」とは、いったい何者なのか。支離滅裂な文章を読み進めば、当然浮かぶ疑問だ。
本社にも送られてきた怪文書には送り主の手がかりがあった。「第3報」から「第6報」までは、文書の送付地が千葉県柏市になっている。この地域に住む同胞から、「思い当たる人物がいる」との通報があった。そして、「第6報」が送られた直後、送り主不明の荷物を受け取ったある同胞が、宅急便の営業所スタッフに「送り主は誰か」と尋ね、名前を聞いたという。
この人物は、自宅近くのコンビニで怪文書をコピーする姿が目撃されている。
一連の情報を総合した結果、浮上した人物が、過去に長野と東京の総連支部で働き、不祥事を起こして同胞たちの糾弾を受け、組織を追われた「李某」であることが判明した。
「第7報」「第8報」「第9報」は、東京と大阪から送付された。これに関する情報提供もあった。情報を追跡した結果、浮上したもう一人の人物が、かつて大阪で朝鮮学校の教員を務め、社協に在籍していたこともある「リ某」である。大阪の「リ某」が千葉県柏市に住む「李某」に、怪文書と目される郵便物を速達で送る姿が目撃されている。
今回の怪文書工作と関連しては、この2人以外にも、過去に総連で働いたことのある人物の名前が浮かび上がっている。
背後に1等書記官
送り主を明かさないで送付されている怪文書は、幽霊団体の「有志一同」が自ら発起し、自分たちだけで作成したものではないようだ。
最初の怪文書は、昨年11月に起きた延坪島砲撃事件を南朝鮮当局の発表通り、「北の挑発」と断定して、6・15共同宣言の放棄と「北に対する果敢な報復」を主張している。李明博政権が繰り返し主張した対決論理と同じだ。怪文書工作の黒幕がソウルにいることを示唆するものだ。
提供された情報によると、「李某」は、東京で南朝鮮大使館の1等書記官と何度も会っている。「朝鮮学校問題」「朝銀の問題」「総連中央会館の問題」など怪文書で取り上げられたテーマや内容も、「李某」が1等書記官の指示に基づいて決めたという。
1等書記官は、「韓国」が「母なる祖国」であり、「日本での母なる祖国は、大韓民国大使館」としながら、「韓国大統領の手助けをしたいと思った」と吐露するような人物を抱き込み、一連の怪文書工作のような活動を指図するという。
1等書記官は、「李某」が活動の苦労を訴えたり泣き言を言うときは、「ソウルでは、あなたたちの活動をよく知っている」という言葉で、励ますという。そして、「われわれの攻撃がどれだけ効果を挙げているのか」を示す「反響データ」を収集して報告するよう促すという。
現在、大使館の上層部やソウルの国家情報院は、「総連の改革」に関する怪文書がばらまかれたことで、「総連中央の幹部の血圧が上がって倒れた」というような「具体的な攻撃の効果」を期待しているという笑止千万な話も伝わっている。
日本の雑誌を利用
大使館側は自らの手先に総連に関する流言飛語を広める方法も伝授している。既成のメディアを利用した風評拡散工作だ。
「統一日報」(7月13日付)に、「志向会」の活動を紹介する記事が掲載されたことがある。記事には、「総連の元活動家だった男性」が「総連の方針に反対する勢力が以前からひんぱんに登場したが、約半年にわたって、定期的に文書を出した事例は、これまで記憶にない」と話した内容が掲載されている。
怪文書工作が、南朝鮮大使館の指示に従って日本の反朝鮮謀略集団とつながっている形跡もある。日本の雑誌「サピオ」(6月29日付)が総連中央会館の問題を記事化しつつ、怪文書の内容を抜き取って掲載したのが代表的な事例だ。記事には、「最高裁判決でついに本部ビルの競売へ!」という扇動的な見出しがつけられたが、「志向会」の怪文書の内容をそのまま書き写しただけだ。
駐日大使館を現地拠点にして敢行された怪文書工作は、民族和解の破壊者としての南朝鮮保守当局の正体をさらけ出すものだ。その目的は、在日同胞たちの中に流言飛語を広め、総連中央に対する不信感を助長させることで組織の内部をかく乱させようとするところにある。
南朝鮮当局の対北対決政策は、すでに総破たん宣告を受けた。駐日大使館が手先たちを動員し、総連瓦解工作が効果を挙げているかのようにいくら騒ぎ立てたところでムダだ。平和と祖国統一の流れに逆行する謀略と対決騒動は、自らの破滅をよりいっそう早めるだけである。