【コラム】「愛国的生産」行う日本企業

 日本の企業は韓国に比べ2‐3倍高い電気料金や法人税、原子力発電所事故による電力不足で頭が痛いが、その上円高にも見舞われ、悲鳴を上げている。円高により、大手メーカーでは営業利益が20%以上減少するとみられているほどだ。日本企業は「ライバルの韓国企業はウォン安が輸出の追い風になっている」と不満顔だ。日本では複数のメーカーが海外に生産拠点を移していることから、産業空洞化の懸念も高まっている。

 しかし、日本の看板企業は「製造業死守」を続々と宣言している。トヨタ自動車の豊田章男社長はこのほど「円高でも300万台の国内生産は維持する」と宣言した。国際競争力を維持するためには海外生産の拡大や部品調達の多角化は避けられないが、雇用維持のため全生産台数700万台のうち、300万台は日本で作るというのだ。日産自動車も「日本での生産100万台」を維持するため、輸出用の車を主に生産している九州の工場を分社するなど、コスト削減体制を整えている。富士通は先日、中国で生産していたパソコンの国内生産を決めた。新型多機能ロボットを導入し人件費の割合を下げれば、競争力は十分あるというわけだ。

 研究開発費などコスト削減のため、ライバル企業同士による「呉越同舟」も本格化している。日本市場で激しい戦いを繰り広げてきた東芝・日立・ソニーの3社は、中小型液晶パネル生産部門を統合することにした。ほかにも、新日本製鉄と住友金属工業が経営統合を推進するなど、企業間の統合が加速している。

 1970‐80年代に世界を制覇した日本企業に陰りが見えている原因の一つに、開発・部品調達・組み立てを日本国内で続けようとする「愛国的生産」がある。日本企業による自国中心の生産システムは部品産業を世界で最強に押し上げたが、完成品の競争力をしぼませてしまった。研究開発と設計は本社で行い、部品調達と製造は世界で最もコストが安い企業に任せるというやり方で「グローバルアウトソーシング」を実行している米アップル社などとの競争力の差は、時間がたてばたつほど広がっている。

 日本企業がグローバル化に消極的だったのは、日本式資本主義の影響も大きい。豊田社長は「日本は、顧客・従業員・地域社会などの利害関係者を尊重する『公益資本主義』だ。(利益を生むことだけに没頭している)欧米の巨大資本主義に対抗して戦い、勝たなければならない」と語った。外国の多国籍企業は自国の雇用に配慮しないという批判だ。

 日本国民も、品質や価格ではなく国産に対するこだわりで企業の努力に応えた。最近やっとアップルやサムスンなどの外国製スマートフォンが日本でも発売されたが、世界市場を席巻した韓国製テレビや自動車を日本でほとんど見掛けないのも「愛国的消費」という日本独特の非関税障壁のせいだろう。20年間にわたる不況、頻繁な首相交代、少子化による国内市場の先細り、先進国最悪の公的債務残高など、数多くの悪材料に囲まれていても、失業率で日本が米国(9%)の半分にすぎない4%台を維持しているのは、愛国的生産と消費が行われているからだ。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) 2011 The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
関連ニュース