国の来年度予算案の概算要求が30日に締め切られ、厳しい財政事情のなか、東日本大震災の復興対策には各省庁からの要求に上限を設けなかったことなどから、一般会計の総額は過去最大の99兆円規模になる見通しです。
来年度予算案の概算要求は、震災への対応や総理大臣の交代で例年より1か月遅れて、30日に締め切られます。財務省では、各省庁から専用の回線を通じて提出される予算要求を担当者が確認するなどの作業が行われています。今回の概算要求では、高齢化に伴う社会保障費の増加分を賄うため、人件費などを除いて歳出を一律10%削減するよう各省庁に求めています。一方で、震災からの復旧・復興に充てる経費には上限を設けなかったため、要求額は3兆円余りに上る見通しです。また、新エネルギーなどの成長分野や人材の育成に重点的に予算配分する7000億円の特別枠に対しては、2兆円程度の要望があるとみられます。この結果、来年度予算案の一般会計の総額は、これまでで最も多かった今年度予算の概算要求=96兆7465億円を上回り、過去最大の99兆円規模になる見通しです。概算要求の提出を受けて来年度予算の編成作業が本格化しますが、政府は、借金に当たる新たな国債の発行額を今年度と同じ44兆円程度にとどめる方針を決めていることから、厳しい財政事情のなか、どこまで歳出を抑制し、財源をどう確保するのかが最大の課題になります。
安住財務大臣は閣議のあとの記者会見で、来年度予算案の概算要求が過去最大となる見通しになったことについて「今年度の第3次補正予算案に盛り込めなかった震災関連の経費を各省庁が積み上げてきたのだろうから、総額が膨らむのは多少はやむをえない。しかし、出せるものは出せるが、出せないものは出せず、これから12月まで鬼となって頑張りたい」と述べ、歳出の抑制に努める考えを示しました。