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日曜日の早朝そこには誰一人いなかった。
静まり返っていた。
雲ひとつない空の下、彼女たちは裸で走り回り、
僕はカメラでそれを追い続けた。
その場所はいったいどんな意味を持っていたのだろうか。
僕は撮影が終わってから改めて日を変えてそこを訪れた。
白い鳩が「幸せ」を忘れて、
ただがむしゃらに餌をつついていた。
なんだかすべてが僕には嘘みたいに見えて、落ち着かなかった。
隣接している博物館には、歴史と称されるものがあった。
時間の流れだけが確実に刻まれていた。
土曜日の夕方だというのにそこにはたくさんの人が訪れていて、
お年寄りから家族ずれ、外国人、若者、カップル、とにかく誰でもいた。
そして僕もいた。
僕がどんな風に見えたのか、
真ピンクのシャツを着て黒い帽子をかぶっていた僕は、
他人の視線の前になんだか申し訳ない気持ちが消えなかった。
戦死した人の白黒の証明写真がたくさんある部屋で、
僕は命がけで戦うことの環境を思った。
それでも僕には何一つわかることはなかった。
遺書も遺品も、あまりにもそのままで何かを受け止める度量なんて
僕にはないことを再確認しただけだった。
僕は戦うことの意味を考えた。
本当の幸せを思うとき、
戦うことはどれだけの意味を持ち、
それには常に犠牲が必要なのかということを。
これだけの人の命が犠牲になって、
果たしてそこには本当に幸せが訪れたといえるのか。
特定の道徳観と倫理観をかたくなに護ることが国を護ることと、
愛する人を護ることだと履き違えて、
さらに多くの犠牲者を生み出していたのだとしたら、
今現在僕たちが本当にするべきことは何だろう。
過去の犠牲者をどのように思うか、
どのように祀るかその方法を議論する前に、
自分たちが戦うことの意志を
どのように受け継いでいくかが問題ではないのか。
忘れてはならない歴史を思うとき、
そこには決して偽りも誇張もない真実があるはずなのに、
誰かの感情に押しつぶされて僕には真実が見えない。
偽りや誇張が誰かの感情によって作り上げられるのだとしたら、
僕は何を信じたらいいのか。
あの場所に何か意味があるのだとしたら、
白い鳩に象徴される価値観よりも
裸で走り回る彼女たちの姿を僕は信じたいということだけ。
僕たちは笑顔を振りまく現代の戦士。
そこに犠牲は必要がないということ。
人の感情が伝染することを知っているから、
悲しみを伝染させる前に笑顔を伝染させよう。
何も身にまとわず、
無防備な姿で自由という盾を片手に笑顔の銃を撃ちまくろう。
僕たちは誰だって戦士になれる。
モデル バイ バイブガールズ
MIYOKO/瑚・Fe・敏/OKURI
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