九州電力の「やらせメール」問題を調査している同社第三者委員会(郷原信郎委員長)の最終報告書案の全容が30日、分かった。一連のやらせは古川康・佐賀県知事の意向に沿って行われたとし、問題は「むしろ県側にある」と指摘。第三者委は同日午後の会合で表現など細部を詰めた上で、再発防止策を盛り込んだ最終報告書を九電側に提出する。
報告書案によると、知事が「九電寄りとの見方をされることを懸念」し、玄海原発(同県玄海町)に関する地元説明会などを重視していたと指摘。そうした知事の意向を踏まえ、05年には同原発へのプルサーマル発電導入を巡り、九電、国、県主催で計3回の討論会や説明会が行われたが、実際にはパネリストの選定などに九電や県側が事前に関与した「作られたイベント世論」と断罪した。
第三者委がとりわけ悪質だと判断したのが同年12月にあった県主催の公開討論会。応募した約1000人のうち655人が九電関係者で、討論会では九電が事前に推進または中立の立場から質問するよう「仕込んだ」参加者が多数質問した。
九電は事前にシナリオや台本、推進派パネリストの発言骨子なども県側に提供していたとし、「討論会は企画、進行において県と九電が協力して行われた」と結論付け、九電が用意したやらせ質問についても県側は「容認していた」としている。
毎日新聞 2011年9月30日 12時06分