国内では先進的で高い技術を発揮しながら、国外では全く存在感を発揮できていない日本の携帯電話産業。これを指して「ガラパゴス携帯」と批判する声は多い。だが、果たして海外に歩調を合わせることが、今後日本の携帯電話産業のためになるといえるのだろうか? 先日行われたCEATEC 2008の展示や講演内容から、日本の携帯電話が進むべき道を検証してみた。
コンセプトモデルより注目すべき、新技術の数々
CEATECは国内最大のデジタル・家電総合イベントだ。しかし携帯電話という視点で見ると、秋冬モデルの発表直前という「谷間」の時期に開催されるため、どうしてもインパクトの弱いイベントとなってしまうのが残念な所である。だがそれゆえに、ケータイの未来を示すコンセプトモデルや実証実験、研究などの発表が多く行われ、日本の携帯電話が向かう先を知ることができる。
CEATEC 2008の内容は既にトレンディネット内の記事でもいくつか紹介がなされているので、その内容はご存じの方も多いだろう。中でも来場者の関心が高かったのは、NTTドコモやKDDIといったキャリア関連のブースで、特に未来のケータイの姿を示すコンセプトモデルの数々は高い注目を集めていた。
だが今回のCEATECにおいて、それらより気になった展示がある。それは、ケータイの未来を支える先進技術の数々だ。
ケータイの未来を支える技術というと、LTEやWiMAXなど通信方式に関する部分を思い起こしがちだ。確かに今回のCEATECでも、そうした次世代通信に関する展示も多数行われていたが、それらよりも面白いと感じたのは、通信方式以外の部分に関する技術の展示である。
中でも「CEATEC 2008で見た近未来のケータイの姿と新技術」にて解説した、位置情報を使用した行動支援技術の展示が多かったというのは印象的。携帯電話のネットワークサービスが、「検索」などで自ら情報を取得するという形から、自分に最適な情報を適した場所、適した形で自動的に取得するエージェント的な形へと変化しつつあることを肌で感じることができた。
また、携帯電話の放送や映像に関連する技術も多く展示がなされており、NTTドコモブースでは次世代マルチメディア放送のISDB-Tmmや、ワンセグなどの映像をきれいに拡大する高画質映像拡大技術の展示が、KDDIブースではWVGAの有機ELディスプレイや3D液晶、そしてエリア限定ワンセグ放送などの展示が行われていた。映像に関する技術の展示が増えているということは、ワンセグの普及によって携帯電話で映像を見るというスタイルが定着したことの現れといえよう。