中国政府は29日夜、独自開発を進める宇宙ステーションのひな型「天宮1号」を打ち上げ、予定した軌道に乗せることに成功した。宇宙船とのドッキング技術を確立し、2020年前後には飛行士が長期滞在できる本格的な有人宇宙ステーションの完成を目指す。米ロに次ぐ宇宙開発の突破口にする戦略だ。
打ち上げは、内モンゴル自治区と甘粛省にまたがるゴビ砂漠の酒泉衛星発射センターで実施し、その模様を生中継。温家宝(ウェン・チアパオ)首相も現地で立ち会った。高速鉄道事故で失った中国の科学技術の威信の回復も狙う。
「天宮1号」は無人で打ち上げるものの、3人が生活できる空間を備える。11月中旬までに無人の宇宙船「神舟8号」を打ち上げてドッキング実験をし、12年内に有人の宇宙船ともドッキングさせる。飛行士が天宮内で各種の実験を続ける計画。中国初の女性飛行士の搭乗も予定している。