2011年8月2日 11時23分 更新:8月2日 11時31分
【ワシントン斉藤信宏】米下院は1日夜(日本時間2日朝)、米政府の債務上限を最低でも2.1兆ドル(約162兆円)引き上げる法案を賛成269、反対161の賛成多数で可決した。法案は上院に送られ、2日には上院が採決し、オバマ米大統領の署名を経て成立する。世界の市場で懸念の高まった米国債の債務不履行(デフォルト)という最悪の事態は回避されることが確実になった。
下院が可決した法案は、オバマ大統領と与野党幹部が7月31日に合意したもので、債務上限引き上げの見返りに、2段階に分けて財政赤字削減を実施する。まず、裁量的経費約3900億ドル、国防費約3500億ドルの削減を柱に今後10年間で9180億ドルの財政赤字削減を決定。その後、12人の超党派議員による「特別委員会」が総額1.5兆ドルの赤字削減策を提案し、12月下旬までに上下両院で採決する。
1日の下院の採決では、与党民主党議員のほぼ半数が反対票を投じたほか、共和党の強硬派も66人が反対するなど、米政府と与野党幹部が合意した法案に不満を持つ議員が多数いることが改めて浮き彫りになった。今後の財政赤字削減策の協議でも、11月下旬に設定された期限ぎりぎりまで議論が難航するものと見られる。
政府債務の上限引き上げをめぐっては、米財務省が期限に定めた2日の直前まで協議が難航。期限後に米国債の利払いなどができなくなりデフォルトに陥る恐れが指摘されていた。