大物演歌歌手ビクビク…芸能界を襲うハードな“身体検査”

★「10・1」激変する芸能界(下)

2011.09.28


NHK紅白歌合戦の人選が試金石となりそうだ【拡大】

 10月1日に施行される東京都暴力団排除条例で、芸能界にとって試金石になりそうなのが、大みそかのNHK紅白歌合戦だ。

 出場者の人選に先駆け、すでに“対策”は始まっている。

 「警視庁の幹部は、民放連や各局を訪問。最も対応が早かったNHKでは、すでに出演者と交わす契約書に『暴力団排除条項』を加えています。歌手の“身体検査”には、社会部の協力も仰いでいるようです」(局関係者)

 かつては、美空ひばりさんの身内と暴力団の関係が問題になった際に、紅白出場を辞退。また、最近では、2008年に週刊誌で暴力団組長とゴルフコンペに参加したと報じられた細川たかし、小林旭、松原のぶえ、角川博、中条きよしが、NHKの番組出演を見合わせたこともあった。

 「今年は条例順守の下で行われる初の紅白。これまで以上に厳しいチェックが行われ、大物演歌歌手の落選もあり得る事態となりそうです」(プロダクション関係者)

 一方で、27日発行の夕刊フジで元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士が「(暴力団関係者と)偶然接しただけの“無実”の人まで追放される恐れがある。冷静さが失われて魔女狩りのようになれば、治安をよくする条例で社会の秩序を乱すことにもなる」と指摘するように、テレビ各局の過剰反応も心配される。

 芸能界のアングラ事情に詳しいプロダクション関係者が指摘する。

 「K−POPをはじめ中国などアジア各国のエンターテインメントやモデルたちが昨年来、続々流入している。一部にはマフィア化したバックを持つ者もいる。任侠の時代以来、一定の抑止力となってきたヤクザが撲滅された後、パワーバランスはどう変わるのか。警察はどこまでも守ってくれるのか」

 そもそもこの条例は、芸能界だけでなく一般社会を“魔の手”から切り離し、守ることが目的だ。元警視庁広域暴力団対策官・竹ノ塚警察署署長の狩集紘一氏はいう。

 「条例は、一般の事業者にとってメリットが大きい。暴力団の事業活動、資金獲得活動が都民等に多大な脅威を与えている現状に鑑み、都民の安全で平穏な生活を確保し事業活動の健全な発展に寄与するものです」

 たとえば、暴力団関係者を都の公共事業の入札に参加させない。契約時に「暴力団排除条項」などの特約を導入することで、相手方が暴力団関係者と判明した場合催告なく契約を解除できる。不動産の譲渡などでも、暴力団事務所として使用させない。事務所として使用している場合も催告なく契約の解約ができる特約を定めることにより契約の解除ができる、という。

 狩集氏は言う。「法律・条例による暴力団取締りが強化され、今後の芸能界に食い込んでいる暴力団らが潜在化することが心配される。条例の施行を機に芸能界は暴力団との持ちつ持たれつの関係を清算することが不可欠です」

 

注目サイト