兵庫県が検討している受動喫煙防止条例案について、井戸敏三知事は28日の県議会本会議で、全面禁煙を義務付ける方針だった百貨店やスーパー、公共交通機関などでも分煙を容認する考えを示した。業界の実態に配慮した見直しで、「全国一厳しい」とされる作成中の条例骨子案の内容は一歩後退する。
北条泰嗣議員(公明党・県民会議)の質問に対し、井戸知事は「条例は喫煙そのものを禁止するのではなく、意図せざる喫煙を防ぐもの。県民や事業者の理解が不可欠で、事業者に過度の負担を強いることがないよう、骨子案を慎重に検討している」と理解を求めた。
有識者らでつくる県の検討委員会が今年7月に提出した報告書では、公共性が高い百貨店やスーパーなどの物品販売業や公共交通機関のターミナルなども全面的な屋内禁煙の義務付けを求めていたが、県は分煙でも対応可能として、喫煙室の設置を認めることにした。
一方、官公庁や学校、病院は報告書に沿い、喫煙室の設置や使用も認めない完全禁煙を義務付ける。
既に小規模飲食店については、店頭に「喫煙可能」の表示を出せば喫煙を認める緩和方針を示しており、規制内容はさらに後退することになる。
県が条例骨子案をまとめる10月に向けて、開会中の県会でも慎重、推進両派の論争が本格化する見通しだ。(井関 徹)
(2011/09/29 08:32)
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