米債務問題:上限引き上げ合意 最大2.5兆ドル赤字削減

2011年8月1日 9時57分 更新:8月1日 13時35分

ホワイトハウスで会見するオバマ米大統領=2011年7月31日、AP
ホワイトハウスで会見するオバマ米大統領=2011年7月31日、AP

 【ワシントン斉藤信宏】オバマ米大統領は7月31日夜(日本時間8月1日午前)、米政府と議会民主、共和両党が、政府の債務上限を現行の14兆2900億ドル(約1100兆円)から引き上げることで合意に達したと発表した。合意によると、2段階で最大2.5兆ドル(約195兆円)の財政赤字削減を図る。債務上限の引き上げ期限とされた8月2日を目前にして、ぎりぎりのタイミングで与野党が歩み寄った形だ。早ければ1日中にも上下両院で引き上げに必要な法案が採決される見通しとなり、米国債の債務不履行(デフォルト)という最悪の事態は回避されることがほぼ確実となった。

 ホワイトハウスで会見したオバマ大統領は「妥協案は決して満足できる内容ではないが、これでデフォルトを回避し、ワシントン発の危機を終わらせることができるだろう」と述べた。一方、共和党のマコネル上院院内総務は「政府支出を大幅に削減するための枠組みができた」と合意の成果を強調した。債務上限は、上下両院での法案可決を経て、大統領が署名すれば引き上げられる。

 ホワイトハウスの発表によると、合意は、まず10年間で1兆ドル規模の歳出削減で財政赤字を削減し、大統領には13年までに債務上限を少なくとも2.1兆ドル引き上げる権限を与える。さらに今後、超党派でつくる「特別委員会」が1.5兆ドルの赤字削減策について話し合い、11月までに削減策を提案する。共和党の主張に配慮し、増税は明確には含まれていない。

 米政府と民主、共和両党は、7月に入ってから断続的に債務上限問題での交渉を継続。いったんは、富裕層向けの増税にこだわるオバマ大統領と、「増税反対」を掲げるベイナー下院議長(共和)との交渉が物別れに終わるなど、8月2日の期限までの合意が危ぶまれる事態となっていた。

 ◇オバマ大統領声明の骨子◇

・与野党は米国経済に甚大な影響を与えかねなかった債務不履行(デフォルト)を回避する合意に達した

・今後10年間に約1兆ドルの歳出を削減する

・追加の赤字削減案を11月までにまとめる超党派の特別委員会を設置する

・合意案は私が望んでいた内容ではないが、危機を回避することができる

・与野党議員が数日内に合意案に賛成票を投じてほしい

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