吉田町の田村典彦町長は28日の定例会見で、政府の要請を受け全面停止中の中部電力浜岡原発(御前崎市)について「廃炉にすべきだ」と述べた。県内では湖西市長や御殿場市長が廃炉に言及しているが、牧之原市議会が26日に「永久停止」を決議して以降、首長が廃炉を求める意向を表明したのは初めて。【小玉沙織】
吉田町は浜岡原発から20キロ圏で牧之原市の東隣にある。田村町長は毎日新聞の取材に、「東京電力福島第1原発の事故で、原発は一度安全が崩れたら歯止めが利かないものだとわかった。浜岡原発で事故が起きれば町民の生命や企業活動に影響を及ぼす可能性が極めて高い」と廃炉を求める理由を述べた。
田村町長によると、福島の事故以降、企業を町内誘致のために訪問すると「浜岡原発は大丈夫なのか」と問われることが増えたという。田村町長は「町内には富士フイルムなど大手企業の生産拠点は多い。企業が原発を不安視して撤退すれば、町民の雇用や生活に直結する。ならば不安材料は取り除くべきだ」と強調した。
隣接する牧之原市が「永久停止」を求めたことについて、「住民の生命や企業の流出を考えたら、再稼働に問題があると考えるのは当然だろう」と評価した。田村町長も町議会に意見の集約を求めているという。
永久停止ではなく廃炉が必要な理由については、「浜岡原発は地震と津波のダブルパンチを受けることが分かっている。立地上、建てるべきではなかった場所だと分かった以上、更地にすべきだ」と語った。
毎日新聞 2011年9月29日 地方版