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なぜ党税調総会は急変して増税容認の落着となったか
藤井裕久が会長をしている民主党の税制調査会が、9/27夜の総会で結論を押し切り、11.2兆円の増税案を決めた。この前日(9/26)、3時間に及ぶ会議をやり、反対論が噴出して結論を持ち越している。さらに、先週の9/21と9/22の夜も、同じように総会を開き、その度に紛糾して結論が出なかった。その様子は、毎回のようにテレビのニュースで映され、早く決めろと大越健介が催促のコメントを連発していた。不審に思うのは、9/27に急転直下で役員案了承となった経緯と背景である。私だけでなく、この問題に注目していた多くの者が、収斂にはもう少し時間がかかり、場合によっては増税先送りになる可能性もあると薄々思っていたはずだ。これほど早く決まるとは意外だった。テレビで藤井裕久が言っていたが、最後まで反対を貫いて抵抗した者もいる。京野きみこのTwitterには、怒号と抗議の中、強引に反論を打ち切られたとある。朝日の9/28の2面にも現場の生々しい様子が記事にあり、休憩後に藤井裕久が住民税増税を1年延ばす提案を出し、そこで議論を打ち切って「拍手で了承を取りつけた」のだが、そのとき、増税反対派の宮崎岳史が「もっと紳士的にやれ」と反発、それに対して、藤井裕久が「お前こそ紳士的にやれ」と怒鳴り返す修羅場が報じられている。テレビ報道の印象ほどには静穏な決着ではなかったようだが、それにしても反対派の攻勢が妙に弱かった。
6月に「税と社会保障」の党内論議をやり、増税反対派が非難囂々の怒濤の勢いで、仕切り役の仙谷由人が取り纏めに失敗して妥協を余儀なくされた一幕があった。あのときの増税反対派の勢力の大きさを見て、さらに代表選での増税論議の賛否の実態を見ると、それほど簡単に増税で収まることはないだろうと誰でも思う。そういう「期待感」を持っていた市民としては、今回の藤井裕久の押し切りと、反対派の面々の無抵抗と行儀の良さは拍子抜けの気分にさせられるものだ。普通であれば、藤井裕久が「拍手で了承を」と勝負に出た瞬間、反対派議員が雪崩を打って前方の役員席に飛び込み、「異議あり」と叫んで役員を取り囲んでいい。それを排除に出た賛成派議員を数の力でブロックし、身体をバリケードにして賛成派を役員から隔離する。議場の肉弾戦を制して敵を無力化し、その間に囲みの中で役員を吊し上げる戦法に出る。藤井裕久に取り纏め案の「了承」を撤回させ、次の総会開催の日程を約束させる。さらに、強引に議論を打ち切って役員案承認に出た暴挙を謝罪させ、議事進行の非民主性とルール違反を反省させ、場合によっては、文書にさせて署名を取るところにまで及ぶ。議場を舞台にした政治戦とはそういうものであり、紛糾したときは、リング上の戦いの次に場外乱闘の場面が必ず控えている。政治家であれば、誰でも心得ていることで、国会の委員会採決でも何度も経験済みのパターンだ。
プロレスでも、フィニッシュの前には必ず場外乱闘のシーンが演出され、「静」と「動」のドラマで観客の緊張と興奮を盛り上げる。つまり、増税反対派は、数の力があれば、この総会に対処する戦術を予め準備し、藤井裕久を首領とする増税派が勝負を仕掛けてきた機に、一気に反撃に出て、物理の政治で敵を仕留めることが可能だった。増税反対派が結束し、司令塔の下で作戦を練っていれば、こうした展開への持ち込みが可能だったはずである。マスコミ報道で非難されるリスクはあるが、増税反対派には何と言ってもマニフェストという錦の御旗がある。「国民との契約」という大義は、マスコミという百万の敵軍を撃破する決定的な威力を持っている。マスコミが騒いで詰れば、マニフェストという水戸黄門の印籠を差し出せばよかった。すなわち、増税反対派は一つに結束して行動しておらず、増税を阻止すべく戦略を練っていた形跡がない。数の力を確認していない。これは、何があったのだろうか。私は、ここに一つの疑いを入れ、推論を立てるのである。党税調総会の情勢を一変させたのは、おそらく、9/26に出た小沢一郎の秘書3人の有罪判決だ。この判決が出た瞬間、自民党など野党は小沢一郎の証人喚問の要求に出た。国会は、増税論議は二の次になり、小沢一郎の政治とカネの問題が前面に浮上した。マスコミ全社も証人喚問で論鋒を揃え、輿石東など小沢一郎に近い幹部に圧力をかける構図が固まった。たった一日で。
裏で取引があったのではないかと、私は疑うのである。小沢一郎の証人喚問には応じない。野党の要求は排除する。その代わり、党税調総会での増税案に了承してくれないかと。そういう取引があり、小沢一郎が密かに条件を受諾したのではないか。そして、小沢派議員に税調での「撃ち方やめ」を指示したのではないか。無論、これは憶測である。証拠など何もない。だが、こういう仮説を想定すると、9/27の党税調の急転直下が腑に落ち、理解できない政治の謎に一つの解が与えられる。復興増税については、与党の国民新党の亀井静香が反対の立場を明確にし、「増税などできっこない」と自信たっぷりに豪語していた。亀井亜紀子も9/11のNHKの日曜討論に出演した際、国債整理基金の剰余金が10兆円あり、「規定がないから財源化できない」と財務官僚は言い訳をしているだけで、それなら規定を作ればいいだけだと急所を指摘、増税なき3次補正の財源捻出に自信を覗かせていた。ところが、これまた一転して、9/28午前、政府・民主党の復興増税案を提示された亀井静香は、野田佳彦の前で沈黙し、何の反論も抵抗もなく、あっさり増税案を与党案として認めてしまうのである。テレビの映像の亀井静香は俯き気味で、会談後のコメントも報じられていない。内心は相当に屈辱だったはずだが、なぜ急に増税案で折れたのか、先週までの気炎は口先だけの虚勢だったのか。謎である。説明をつけるなら、小沢一郎が増税賛成に回ったから歩調を合わせたとしか考えられない。
民主党の税調総会に出ている増税反対派の議員は、基本的に小沢系が多い点は間違いないだろう。彼らの姿勢と空気が、9/26と9/27の2日間で一変している。ノーサイドになった。もし、私の推理と想像が正しく、執行部が小沢一郎を脅迫し、証人喚問の拒絶と引き換えに増税容認を取り付けていた事実があったとすれば、それは直ちに次の想定と認識へと導かれる。すなわち、財務官僚と司法官僚は周到に戦略を組み、彼らの思惑と計算どおりに政治を動かし、復興増税という獲物を射止めたということだ。つまり、秘書3人の判決期日という日程があり、それを基点に全体の政治工作を設計し、党税調の「紛糾」の過程を織り込み、国民の前で演出し、判決直後に増税で論議を押し切る逆転劇を設定したということだ。官僚と米国は、彼らの政策である①大衆増税と②TPPと③辺野古を通すために、小沢一郎の「政治とカネ」をどこまでも利用する作戦で、つまり官僚にとっての万能の打ち出の小槌で、この政治は第2弾、第3弾と続くことだろう。早速、石川知裕の議員辞職勧告案が提出され、その採決が次の政局となった。復興がテーマだったはずの国会は、小沢一郎の「政治とカネ」が焦点となり、その攻防で法案の審議が決まる進行になっている。今週末の政治報道や各党討論も、小沢一郎の問題が中心になるだろう。小沢一郎への攻撃世論を再び扇動し増幅するはずで、国会で説明責任を果たせと迫り、野田政権の小沢擁護姿勢を糾弾するに違いない。こうして、野田政権の支持率を下げる根拠(アリバイ)を作る。
10月には小沢一郎の公判が始まる。起訴状が朗読されれば、またマスコミは騒ぎ立て、その局面を利用して自公が国会で証人喚問要求をする。そして、野田政権に3次補正の政策譲歩を迫る。さらに、11月中旬のAPECと日米首脳会談の前後に、党税調と同じようなTPPの党内論議の場を作り、そこでTPP反対派を包囲し、小沢一郎を脅迫して今回と同じような取引をするだろう。小沢一郎には党員資格停止処分の弱味があり、これが解除されないかぎり代表選に出馬することはできない。本当なら、9/26の秘書3人の判決で無罪を勝ち取って、その弾みで資格停止解除の環境を作ろうと目論んでいたはずだが、結果が逆に出て、楽観的な展望は描けない苦境になった。逆に、野田佳彦ら主流派と官僚は、窮地に陥った小沢一郎を嬲(なぶ)るようにして、一つ一つ政策の断念を迫り、マニフェストの立場を放棄させ、主流派との一体化(ノーサイド)を呑ませて行く。復興増税の次はTPP、TPPの次は消費税増税、その次は辺野古移設と。この政治の態様は、大坂夏の陣を前にした豊臣と徳川の関係と似ている。豊臣は、冷酷で狡猾な徳川の工作に誘導され、騙され、延命をすがって城の外濠を埋める「講和策」を受け入れた。今回、あっさりと復興増税が党税調を通過した意外に、増税反対派の中には内情を訝って見ている者も多いだろう。上同士が手を握ったのではないかと。疑惑は噂を呼ぶ。小沢派は内部で疑心暗鬼になり、不信感は分裂を促進する要因になる。官僚の思うツボだ。その意味で、今度の地裁判決が政治に与えた悪影響は計り知れない。
最早、小沢一郎はテレビに出ることもできないし、会見を開くこともできない。叩かれるだけのサンドバッグの身に戻った。復権しようとするなら、政治(代表選)で勝たなくてはいけなかったのである。裁判の結果を有利に導くためには、何より政治闘争の勝利こそが条件だったのだ。そして、そのチャンスは十分にあった。
by
thessalonike5
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2011-09-29 23:30
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その他
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