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[地方]ニュース
鹿沼、児童6人死亡事故 初公判 栃木
■被告、クレーン車運転に執着
鹿沼市の国道で4月、小学生6人の命が一瞬にして奪われたクレーン車事故。宇都宮地裁で28日に開かれた柴田将人被告(26)=自動車運転過失致死罪で起訴=の初公判で、てんかんの持病を隠してクレーン車の運転に固執する柴田被告の姿が浮き彫りにされた。ただ、この日は柴田被告から謝罪の言葉は聞かれなかった。今後の公判で何を語るのだろうか-。(奥田翔子)
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「(クレーン車を)運転していて発作を起こしたらどうするの。人を巻き込んだらどうするの。責任取れるの」。検察側は冒頭陳述で、柴田被告が通院していた病院の医師が、こう厳しい言葉で指導していたことを明らかにした。
だが、柴田被告が医師の言葉に耳を傾けることはなかった。「クレーン車が格好良いと思い、運転することに優越感を感じ、クレーン車に執着した」。検察側は、クレーン車の仕事をやめるようにたしなめる母親に暴力をふるったことも明らかにした。
柴田被告は持病を隠して運転免許を取得、更新していた。過去10年間に少なくとも12回の交通事故を起こし、そのうち5回は発作が原因だったという。
検察側は、被告の発作が起こりやすくなる原因として(1)薬を飲まない(2)睡眠不足(3)過労-を挙げ、事故当日も発作が起こりやすいことを認識していたとし、「過失は極めて重大」と批判した。
一方、弁護側は、被告が持病を隠していた背景について「運転しなければ日常生活を送ることができない環境だった」と指摘。クレーン車の仕事に就き、人並みの給料が得られるようになったことなどから、「社会の無理解や多くの制約があるてんかん患者でも、人並みの生活を送ることが被告の夢だった」と訴えた。
また、弁護側は、柴田被告が遺族や弁護人に宛てた計10通の手紙を証拠として提出。弁護人への手紙には「事故は自分で防げた。どうしてクレーン車にこだわってしまったのか。反省している」と記されていたことを紹介し、「被害者の冥福を祈り、遺族の悲しみや怒りに思いをはせている」と、刑の減軽を求めた。
しかし、この日の法廷では、柴田被告が検察官の後ろに座る遺族に目を向けることはなく、反省の言葉や謝罪の言葉は聞かれなかった。今後の公判で柴田被告は何を語り、大切な息子や娘を奪われた遺族の言葉に何を思うのだろうか-。
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