東京電力の経営や財務状況を調査する国の委員会は、来月、野田総理大臣に提出する報告書の中で、事実上、年度内の電気料金の値上げは必要ないと指摘する内容を盛り込む方向で調整していることが明らかになりました。
この委員会は、福島第一原子力発電所の事故の賠償を進めるため、東京電力の経営状況を詳しく調べており、来月初めに野田総理大臣に報告書を提出することになっています。関係者によりますと、報告書には、東京電力が今年度末までに支払う賠償金の総額をおよそ3兆6000億円と見積もったうえで、事故の収束が1年遅れるごとに8000億円余りが加算される想定だということです。一方、報告書をまとめる議論では東京電力の電気料金の値上げの必要性が焦点になり、議論の前提として、新潟県にある原子力発電所が、定期検査の終了後に再稼働するか、しないかなど、9つの場合を想定した試算、試みの計算を行いました。その結果、東京電力にとって最も厳しい経営を強いられることになる原発の再稼働がない場合は、電気料金を値上げしなければ、来年度末、平成24年度末には債務超過に陥ると試算されました。しかし、関係者によりますと、今年度は、原発が再稼働するかどうかに関わらず電気料金は値上げしなくても東京電力は債務超過にはならず、経営が行き詰まることはないことを報告書で指摘する見通しだということです。そのうえで、東京電力が、なお料金の値上げを求める場合は一段のコスト削減を求めるとする記述が盛り込まれる見通しで、委員会として料金の値上げを容易には認めない姿勢を鮮明にする方針です。