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『週刊ダイヤモンド』特別レポート
【第141回】 2011年9月28日
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週刊ダイヤモンド編集部

NTT本体の基盤が揺らぐなかで
研究所は存在意義を打ち出せるか
――ネット時代の真価が問われる
NTT「研究開発体制」の内幕(下)
週刊ダイヤモンド9月24日号より特別公開

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 であれば、インターネットの世界に軸足を移さなければならないが、サービスインテグレーション基盤研究所の上山憲昭特別研究員は「現状のインターネットでは、NTTの研究所がつくった技術が生かされていない。本来は、もっとコミットできたはずだ」と自戒を込めて振り返る。

 個々の研究者の持つポテンシャルが高いにもかかわらず、いつまでもタコ壺化の問題を解決できないまま、研究の小粒化も目立ってきた。そのような積年の矛盾に対して、09年6月に持ち株会社の取締役に就任した篠原弘道研究企画部門長は、待ったなしで研究開発体制の大手術に取りかかった。

 まず、それまで前例がなかったが、あらためて研究者の役割を定義し直し、「6つの役割」(事業貢献のあり方)として大方針を示した。次に、研究開発のスピードアップ・効率化を図るべく、外部機関とのコラボレーションを強化するという方針を再定義した。

 サイバースペース研究所の仵小軍研究員は、こう指摘する。「まだまだ本格的な連携にはなっていない。自分と 同じような領域を対象とする人が3ヵ所に分かれて研究している。このような非効率を改善するだけでも、もっと能力を発揮できるようになる」。

 篠原取締役は、「満点主義からの脱却」と「自前主義からの脱却」に固執し、この8月からサービス開発がメインの一部の研究所では事業会社との連携を原則としたり、異なる研究所とも連携するように義務づけたりして、半ば強制的に揺さ振りをかけ始めた。

 一例を挙げると、米グーグルは、3月11日の東日本大震災直後に、消息情報を集めたサイト「パーソンファインダー」を緊急開設した。NTTの研究者たちは、「NTTなら、あれよりすごいものができる」と述べるが、それでは夜郎自大である。NTTの研究所は、100%の状態でないと、外部に出さない。だが、いつものトライアル(練習試合)で満足せず、そろそろ実践(本試合)で経験を積む時期を迎えているのではないか。

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