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『週刊ダイヤモンド』特別レポート
【第141回】 2011年9月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部

NTT本体の基盤が揺らぐなかで
研究所は存在意義を打ち出せるか
――ネット時代の真価が問われる
NTT「研究開発体制」の内幕(下)
週刊ダイヤモンド9月24日号より特別公開

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 そして、NTTの研究所を支えてきたNTT本体の収益構造が、変わってきた。たとえば、無線通信のNTTドコモは、従来の回線交換方式による音声通話の収入が右肩下がりを続けて、ついに11年3月期にはインターネットベースのデータ通信の収入のほうが上回った。同様に、固定通信のNTT東西でも、12年3月期には音声通話よりインターネット系サービスが上回る見込みだ。要するに電話は儲からなくなっているのだ。

 サイバーソリューション研究所の宮田章裕研究員は、次のように危機感を訴える。「いつまでもインフラ屋にあぐらをかいていてはいけない。やたらと性能ばかり主張するのではなく、まずは『ユーザーがどんな体験をできるのか?』から逆算して考えるべき」。

 しかしながら、現在のNTTの研究所は、固定通信がメインなので、将来的に通信の世界で中核となる無線通信とは協働する関係にない。92年に分社化したNTTドコモは、無線通信だけを切り離した研究所を持っているのである。

研究所と事業会社の
埋めがたいギャップ

 NTTでは、いずれ音声通話とデータ通信の収益が逆転する事態を見越して、08年5月に「サービス創造グループを目指して」と題した向こう5年間を視野に入れた方針を打ち出した。

 NTTは、固定通信と無線通信ともに、いったんインターネットベースのフルIPのネットワーク基盤を構築して地ならししてから、12年度をメドにNTTの研究所が開発したNGN(次世代ネットワーク)へと置き換え、ブロードバンド・ユビキタスサービスの本格展開に入る計画を温めている。

 NGNとは、現在は別々にネットワークで構築される固定通信と無線通信、そしてインターネット網を統合したプラットフォームである。NGNのシステム開発では、研究所だけで数百人、協力会社も含めると数千人にも達するというビッグプロジェクトだった。

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