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『週刊ダイヤモンド』特別レポート
【第141回】 2011年9月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
週刊ダイヤモンド編集部

NTT本体の基盤が揺らぐなかで
研究所は存在意義を打ち出せるか
――ネット時代の真価が問われる
NTT「研究開発体制」の内幕(下)
週刊ダイヤモンド9月24日号より特別公開

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地下設備で老朽化した錆びた管路の内部を高圧洗浄機で洗い流して補修・再生する技術(上)。その中を通って提供される「ひかりTV」(右)

 だが、99年以降のNTTの研究所では、「私たちは、事業会社さんから研究開発資金をいただいている」と遠慮がちに言うようになった。それでいて、事業会社が望むインパクトのある成果を出せていないことから、当の研究者たちも戸惑いを隠せないでいる。

 未来ねっと研究所の川村龍太郎主幹研究員は、苦渋の表情で語る。「かつてのマルチメディア、その次に来たインターネットでも、結局、NTTは主役になることができなかった。それは、研究所の成果を外部に出せなかったことに起因するが、研究者としては焦りがある。私見だが、光ファイバーにどれだけの情報を詰め込めるかで、1~2%効率を上げるために競争するより、成果を世に出すことのほうが重要だと考えている」。

NTTの研究所は固定
無線はドコモの研究所

 折からのインターネット隆盛の時代を迎えて、NTTグループはよって立つ土台(事業基盤)が覆ってしまった。それが、NTTの研究所の研究開発にも大きな影響を及ぼしている。

 NTTにとって最も変わった点は、電話の時代はすべて自分たちで決められたが、インターネットの時代には自己裁量の範囲が限りなくゼロに近づいているところだ。かつては、自分たちで価格が10億円する電話交換機を開発しても、事業会社はそれを使うのが当然であり、またNTTと相互接続する必要性があった新規参入事業者も高額の交換機を購入してくれた。

 だが、今ではインターネット上の技術やサービスの動向は米国企業が牽引し、交換機は安価な外国製のルーター(汎用機)に置き換わった。もちろん、NTTは、信頼性を担保する観点から、すべてNTT仕様に改良して使っているが、頻繁に変更される国際標準規格の動きにも目配りをしながら、自社のサービスを組み立てざるをえなくなっている。

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